インバウンドの恩恵を最大限に受け、2016年に出超産業に転じた化粧品業界であるが、19年1月の中国電子商取引法の施行に伴いインバウンド需要に陰りが差し、さらに20年からの新型コロナ感染の拡大による来日客の消失で、一気に特需を失うこととなった。加えて、長引くコロナによる対人接触機会の減少やマスク着用による化粧頻度の低下も加わり、21年度化粧品出荷額(経済産業省統計)は1991年当時に逆戻りしてしまった。メーカーも経営方針の変更を余儀なくされたが、化粧品小売業も、チャネル間でバラツキはあるものの、これまでの成長を持続するのが困難になっている。そんな厳しい経営環境下にあって、確固たる経営理念と接客哲学に基づいて、来店客との信頼関係をさらに深め、着実に売り上げを伸ばしているお店を紹介する。
自動車道開通で商環境も一変
鳴門市の人口は市制施行時の1947年は7万人であったが、今日では5.5万人と漸減傾向で高齢化も進んでいる。98年に明石海峡大橋が完成し、神戸淡路鳴門自動車道が全線開通したことによって、関西圏とは車で1時間程度で往来できるようになり、鳴門は阪神方面からの四国の玄関口として一大観光地と化したが、同時に、若者の阪神地区への人口流出も激しくなった。
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