インバウンドの恩恵を最大限に受け、2016年に出超産業に転じた化粧品業界であるが、19年1月の中国電子商取引法の施行に伴いインバウンド需要に陰りが差し、さらに20年からの新型コロナ感染の流行による来日客の消失で、一気に特需を失うこととなった。加えて、長引くコロナによる対人接触機会の減少やマスク着用による化粧頻度の低下も加わり、21年度化粧品出荷額(経済産業省統計)は14年当時に逆戻りしてしまった。メーカーも経営方針の変更を余儀なくされたが、化粧品小売業も、チャネル間でバラツキはあるものの、これまでの成長を持続するのが困難になっている。そんな厳しい経営環境下にあって、確固たる経営理念・接客哲学に基づいて、地域生活者との信頼関係をさらに深め、着実に売り上げを伸ばしている化粧品専門店を紹介する。

〝売らない接客〟で高い来店頻度を実現

人口190万人の岡山県において、72万人を擁する政令指定都市の岡山市と48万人の中核都市の倉敷市に挟まれた総社市は、人口7万人弱ながら、古くは備中国304社を祀る総社宮の門前町として栄え、備中国分寺や水墨画家・雪舟が修行したことで有名な宝福寺など多くの名所旧跡を擁し、県民から〝県内住みたい街〟のトップに挙げられる街である。

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