中国EC最大手のアリババ(阿里巴巴)への逆風が収まらない。中国国家市場監督管理総局(同総局)は4月10日、独占禁止法の第47条、第49条の規定に基づき、2019年の中国国内売上高4557億1200万元の4%に当たる182億2800万元の罰金を科した。同総局は20年12月、特別チームを結成して市場を支配するアリババの優越的地位濫用行為について調査を開始。社内、社外の関係者の聴取、大量の書類の調査、アリババからの意見陳述などを経て、15年から取引先にECビジネスをアリババに絞ることを迫る「二者択一」を行っていたと認定した。同総局は、巨額の罰金に加え、プラットフォーム企業としての責任を厳格に実行すること、コンプライアンスを強化すること、公平な競争を維持すること、プラットフォーム内の取引先と消費者の合法的権益の保護などで全面的な改善を行うように要求。今後3年間、コンプライアンス報告書を提出するように求めた。

確かに、アリババの取引先に対する圧力は目に余るものがあった。特に、同総局が問題視した二者択一は、中国企業、海外企業ともに取引上の頭痛の種だった。いかにアリババが巨大企業で、近年は地方市場の開拓に力を入れていたとはいえ、中国全土の14億人にリーチできるわけではない。だから取引企業は成長の機会を得るために、ジンドン(京東)など別のプラットフォームに参入したい。それをアリババは、商談の場で天猫や天猫国際のブランド旗艦店へのトラフィックを減らすことなどを示唆し、許さなかった。プレッシャーのかけ方はメーカーに直接行うこともあれば、TP(代理商)を呼びつけることもあった。TPが抵抗すると、メーカーに代理商との取引停止、変更を迫るケースもあり、以前から健全な競争ではない、と問題視されていた。特に、化粧品について、アリババは競合他社を寄せ付けない競争力を持っており、日本ブランドも機会損失を被っていた可能性が十分にある。

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