資生堂は、第13回「資生堂女性研究者サイエンスグラント」の受賞者10名決定。この6月に発表した。今年は新型コロナの影響もあり、受賞者を一堂に会して研究報告をするのは延期となっているが、今年度よりWEBを活用した女性研究者同士の交流会を7月13日に開催した。WEB交流会はサイエンスグラントの歴史のなかでも初の試みとなる。WEBの活用により、遠隔地から自由に参加することが可能となるため、柔軟で多様な研究ネットワーク作りやロールモデルをより身近に感じる取り組みとなった。
WEB交流会は3部で構成。会の冒頭、資生堂の島谷庸一副社長があいさつし、日本では女性研究者の比率が約15.7%と欧米と比較し半分以下とまだまだ少ない実情を明らかにし、より活躍できるようサポートしていくことを改めて誓った。また、コロナ禍で実施できていない研究報告の場は改めて設けることを示した。
資生堂 島谷庸一副社長
第一部では今回の受賞者10名が受賞の喜びとともに、自身の研究の概要を紹介した。詳細の報告は秋以降になろうが、各研究者の個性あふれる研究に期待が高まったことだろう。
第2部は「過去の受賞研究者講演会、交流会」と題し、第10回受賞者の長岡技術科学大学溝尻先生、第11回受賞者の大阪大学丸山美帆子先生がそれぞれ講演。コロナ禍でそれぞれの研究の現状を説明するとともに、研究者として自宅でどういった心構えで過ごしていたか、何を大事に過ごしていたかなどを共有した。第2部では、グループチャットを活用した質問も受け付けており、タイムリーなコミュニケーションも実現。Face to Faceと何ら変わりのない、満足度の高い双方向コミュニケーションが生まれていたように見受けられ、盛り上がりを見せた。
第3部では三つのグループに分かれた少人数でのグループディスカッションを実施した。A、B、Cのそれぞれでコロナ禍での研究の現状をより細部にわたり共有。全員が当事者としての意識のもと参加した少人数でのグループコミュニケーションならではの、研究現場のリアリティを感じられるディスカッションが展開された。
WEB交流会の様子
今年のサイエンスグラントは、コロナ禍で人が集まれないなかで、WEBを活用し立て付けを工夫することでコミュニティとしてより充実したように感じた。研究者同士の交流がより活性化され、新たな研究テーマや成果の創出につながることを期待したい。
なお、第13回「資生堂女性研究者サイエンスグラント」の受賞者10名は以下の通り(敬称略)。
秋元文(国立大学法人東京大学大学院工学系研究科准教授)
池内桃子(国立大学法人新潟大学理学部准教授)
石澤有紀(国立大学法人徳島大学AWAサポートセンター准教授)
瀬海美穂(国立大学法人京都大学医学研究科分子腫瘍学特定助教)
田尻怜子(国立大学法人東京大学新領域創成科学研究科先端生命科学専攻日本学術振興会特別研究員)
堀口道子(公立大学法人山陽小野田市立山口東京理科大学薬学部薬学科薬剤学・製剤学分野講師)
日比谷由紀(国立研究開発法人海洋研究開発機構海洋機能利用部門海底資源センター日本学術振興会特別研究員PD)
森田梨津子(国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター細胞外環境研究チーム研究員)
湯浅磨里(国立大学法人東京医科歯科大学生体材料工学研究所助教)
若林里衣(国立大学法人九州大学工学研究院応用化学部門助教)