ロート製薬は、グループ会社のエムジーファーマとともに「一般社団法人 異所性脂肪研究会」の設立を支援した。研究会は6月25日に設立され、代表理事には東京大学大学院の佐藤隆一郎氏が就任。医学、栄養学、運動科学、生活科学など多分野の研究者が連携し、異所性脂肪に関する科学的知見の創出・発信と社会実装を目指す。
異所性脂肪とは、本来脂肪がたまるべきではない肝臓、筋肉、心臓、膵臓などに蓄積した脂肪を指す。皮下脂肪、内臓脂肪に続く「第三の脂肪」とも呼ばれ、外見では判断しづらく、一般的な健康診断でも見つけにくい。近年の研究では、各臓器の機能低下や慢性的な炎症を引き起こす要因の一つであることが明らかになりつつあり、生活習慣病に加え、フレイル、サルコペニア、不妊症、うつ、認知症などとの関連性も示唆されている。
設立発表会では、痩せ型や標準体重でも肝臓や筋肉などに脂肪が蓄積する場合があることに加え、日本人は皮下脂肪に脂肪を蓄える容量が比較的小さく、あふれた脂肪が内臓や臓器に蓄積しやすい傾向が指摘されていることが示された。体重だけでは捉えにくい「見えない健康リスク」として、早期の理解と対策が課題になる。
研究会は、異所性脂肪を人々のWell-beingとLongevityに深く関わる社会的健康課題と位置付ける。年1回程度の学術集会や勉強会を通じて専門家の知見を集積するとともに、市民講演や展示会などで生活者への啓発を進める。参画企業と連携し、課題解決につながる製品やサービスについても検討することで、異所性脂肪への理解を「研究者の常識」から「社会の常識」へ広げる。
社会実装に向けた課題の一つが評価法の確立だ。会見では、現時点で正確に測定できる評価法は確立していない一方、バイオマーカーやイメージング技術には実験レベルで候補があると説明。医学や農学など異分野が連携し、診断法などを開発する必要性を示した。
ロート製薬は胃腸薬を原点に、脂肪に起因する諸症状に対処する内服医薬品や、病気に至る前の健康維持を支える特定保健用食品、機能性表示食品などを開発してきた。こうした知見を背景に、異所性脂肪を新たな健康課題と捉える。
設立支援企業を代表して登壇した瀬木英俊社長は、異所性脂肪研究について「健康課題を解決するだけでなく、新しいヘルスケア市場と健康価値を創造する大きな可能性を秘めている」と強調。スポーツ・フィットネス、フレイル・サルコペニア、女性の健康などへの広がりを見据え、研究成果を新たな商品・サービス開発につなげ、研究者や参画企業と社会実装を進める考えを示した。
ロート製薬は、異所性脂肪への理解を未病段階から促し、予防や行動変容につなげることで、健康寿命の延伸を目指す。研究会を起点に、科学的知見の蓄積と新たな健康価値の創出を進める。★
月刊『国際商業』2026年10月号掲載





















