特定商取引法(特商法)が事業者にとって厄介なのは、事前と事後の双方でかなり強い規制がかかることだ。加えて、法律の改正も頻繁に行われ、これにキャッチアップする必要が生じる。一部の問題事業者とトラブルが全体に波及して、まともな企業が迷惑を被り、さらに消費者の利便を下げるという事態も起こっている。特に市場規模が15兆円に迫り、多くの事業者が存在する通信販売のカテゴリーではこの傾向が顕著である。

1974年に制定された特商法の規制類型のなかで最も成長したのは通信販売だ。業界全体では15兆円の市場規模と推計され、アマゾンジャパンの年間売上高は4兆円と推計されている。ここまで爆発的な成長を遂げた大きな理由は、インターネットとITの普及だ。90年代後半に、ECが登場するとスマホなどツールの進化もあり、通販市場は大きく伸長する。新型コロナウイルスがまん延した際には、政府が通販の利用を推奨するなど、既に社会に不可欠な流通、インフラとなっている。店舗を構える小売業でも大小含めて、ECを行っているケースは多い。「クリック&モルタル」だ。21世紀に入った後の急激な成長の影響で、構造的な人手不足の物流がてんてこ舞いになり、通販の「送料無料」表示がやり玉に挙げられたことなども記憶にあるだろう。

参入障壁が低いため、一部とは言え、問題ある事業者が跋扈する余地も生じる。「お金を振り込んだのに商品が来ない」「広告していたのとは違う商品が来た」「送料等の名目で追加の金額が生じた」などが典型的な例だ。

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