広告が届かないのではない。届いても、生活者の中で意味を持つ前に流れていく。情報接点は増え、嗜好は細分化し、年齢や性別で描いたペルソナは輪郭を失った。企業は、誰に、何を、どの順番で伝えれば購買に結び付くのかを見定めにくい。そうした時代に、推し活は、なぜマーケティングの有力な切り口になるのか。博報堂メディア環境研究所の森永真弓上席研究員は「推し活は、生活者の熱量がどこにあるのかを見つけやすい」と指摘する。多様化する生活者を動かす手がかりとして、推し活の可能性と注意点を聞いた。
生活者を能動化する推し活マーケティング
――消費行動は多様です。なぜ捉えにくくなったのでしょうか。
森永 かつては「20代女性」と言えば、好むタレントやメディア、響きやすい表現に一定の共通像がありました。そこに合わせて商品やコミュニケーションを設計すれば、周辺の10代、30代にも広がるという読みが立てやすかった。ところが今は、同じ年代、同じ性別の中に、まったく違う価値観や情報接点を持つ人が混在している。企業はペルソナを描いたつもりでも、その人が何を見て、何に反応し、何を買うのかをつかみにくくなっています。「一般的な生活者」の中身が、以前ほど一枚岩ではなくなっているのです。
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。



















