ロート製薬は、細胞研究を基盤とした「ロンジェビティ(健康長寿)」を経営戦略の中核に据える。同社の瀬木英俊社長は、「ロート製薬はロンジェビティを推進し、実現する企業である」と位置付け、医療やスキンケア、食品など幅広い事業を横断する成長戦略を打ち出した。細胞研究と植物研究を融合した独自技術の社会実装を進め、2027年春からは植物由来エクソソーム技術を「肌ラボ」など主力スキンケアブランドへ順次導入する。

瀬木英俊社長
同社は1899年の創業以来、目薬をはじめ、内服薬、スキンケア、食品、医療など事業領域を拡大してきた。一見すると多角化しているように見えるが、瀬木社長は「すべて人が長く健康に生きるためのサイエンスによってつながっている」と説明する。ロート製薬を医薬品会社や化粧品会社としてではなく、人の今と未来を支える「トータルヘルスケア企業」として再定義し、その中核概念としてロンジェビティを掲げる考えだ。
世界では美容、健康、食品、医療、テクノロジーなど異なる産業が、ロンジェビティという共通テーマの下で融合しつつある。ロート製薬はこうした潮流を成長機会と捉え、長年培ってきた細胞研究を競争優位の源泉として活用する。その中で、同社が注力するのは、細胞同士の情報伝達を担うエクソソーム研究だ。再生医療や細胞培養技術で蓄積した知見に加え、植物や生薬研究で培った技術を融合。人と植物に共通する「細胞間の対話」の仕組みに着目し、新たなスキンケア技術の開発を進めている。
その成果の一つとして、沖縄県久米島周辺のマングローブ地帯に生息する微細藻類「パブロバ」由来のフィトエクソソーム技術を開発。工業的な大規模培養と安定量産を可能にする設備と技術を確立した。
同技術は2027年春から「肌ラボ」「メラノCC」「オバジ」に順次導入する予定。その後はスキンケア事業全体への展開を視野に入れるほか、プレミアムブランドやクリニック専売ブランド、さらにはボディケアやヘアケア領域への応用も検討する。瀬木社長は「ロンジェビティは新規事業ではなく、既存事業の価値を長期的に高めるための事業基盤そのものの進化」と強調。個別ブランドの強化にとどまらず、全社の競争力向上につなげる考えを示した。
「細胞サイエンス」が全事業の根幹

山田邦雄代表取締役会長
山田邦雄代表取締役会長は、ロート製薬が進める再生医療や細胞研究について、「再生医療の会社になろうとしているわけでも、化粧品だけの会社になろうとしているわけでもない」とコメント。「健康や美しさ、幸せにつながる取り組みはすべて地続きであり、その根底には細胞サイエンスがある」と述べた。また、「日本発のロンジェビティサイエンスを世界に広げていきたい」とし、日本で培った技術や研究成果をアジア、さらにグローバル市場への展開を視野に入れる。同社の国内外の売上高がほぼ同規模となる中、長寿化が進むアジア市場を中心に、健康長寿への貢献と事業成長の両立を目指す。
同社は今後、細胞研究、植物研究、製剤技術、グローバル展開力を組み合わせながら、ロンジェビティを軸とした事業ポートフォリオの強化を進める。創業以来培ってきたヘルスケア事業群を「健康長寿」という一つのテーマで再編し、新たな成長ステージへの移行を図る。




















