ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業は、光をコントロールし、たるみなどを目立ちにくくするクリームファンデーションの技術を開発した。新技術では、スキンケアクリーム処方に光コントロール機能を持たせることに成功。乾燥感の原因となるパウダーの配合率を抑えつつ、リフトアップしたようなハリ感とうるおいに満ちた使用感の両立を達成した。

年齢を重ねた肌の悩みの一つに、ハリの低下やたるみが挙げられる。ハリのなさやたるみは、肌にかかる「影」によって強調されるため、リフトアップしたようなハリ感を目指すファンデーションには影を散らす光コントロール技術が求められる。一般的に、化粧品において光をコントロールする際はパウダーが用いられるが、パウダーを多量に配合すると乾燥感が生じやすくなるという課題がある。パウダーは一般的に水分・油分を吸着・吸収しやすいため、乾燥感が生じやすくなってしまうのだ。そこで同研究では、パウダーだけで光をコントロールする発想から転換し、スキンケアクリームの膜自体にも光コントロール機能を持たせることを目指した。

同研究では、頬部の画像における影の印象を変化させることでハリ感のある印象を取り戻すことのできる要件の抽出から始めた。分析により判明したのは次に示す2点だ(図1、2)。

1.光の反射強度:光が満ちたようになり、肌表面のしぼんだ印象が薄れ、ふっくらハリ感が生まれる。
2.影と周辺部位の明暗差(コントラスト):影をぼかすことができ、たるみの凹凸印象が和らぐ。

つまり、影を和らげ、ハリ感を取り戻すには拡散反射を高めることが重要と言える。

光の拡散反射(ソフトフォーカスのような散乱)を高めるべく、その光学効果を持つ保湿成分のスクリーニングを行った。特に注目した成分は油脂(ワックス)成分だ。これは常温で固形になりやすい油性成分で、化粧品では使用感や膜の厚み・密着性の調整に用いられる。さまざまな原料で検討した結果、特定のワックス成分の配合によって光の拡散反射が高まることが確認された(図3)。

ワックス成分が塗布膜中で微細に分散し、光を多方向へ散乱させることで拡散反射が高まると考えられる。これにより、光コントロール機能を付与した開発ベース(新規ファンデーションからパウダーを除いたクリーム)が生まれた。

この光散乱ワックス技術を応用して開発した開発ベースの拡散反射比率は、従来ベース(従来ファンデーションからパウダーを除いたクリーム)よりも約20%高いことを確認した(図4)。これにより、開発ベースが光の拡散反射を高めると同時に影の陰影を和らげる方向に働く可能性が示唆された。

同研究では、クリームを肌に塗った際に、このワックス成分が粒子状になって肌の上に均一に広がるように設計することで、膜の拡散反射を高めることが可能になった。

上記の技術を応用して開発したクリームファンデーションを顔に塗り、頬の明るさと、ほうれい線の下の影の明暗の差を評価した。その結果、従来品に比べて肌全体が光に満ちたような明るさを感じ、ほうれい線周辺の影が目立ちにくくなることが見て取れた。開発品はパウダーの配合量を減らしたにも関わらず光に満ちたような明るさを感じ、従来品と比較して影の印象(影と周辺の明暗差)が弱まり、リフトアップしたようなハリ感のある仕上がりになった(図5)。

定量的な検証として、顔写真データを分析すると、新規ファンデーションによって頬部の輝度が高まる(図6)ことが分かった。その一方で、ほうれい線による影の明暗差が従来品と比較して小さくなっていた(図7)。これにより、影をぼかす効果が数値でも示された。図3、図4で示したような拡散反射の増大が寄与した可能性が考えられる。

さらには、肌に塗って6時間後の角層水分量変化が従来品を約20%上回った。専門評価者18人による評価では、94%が仕上がりのハリ感と保湿実感が従来品より優れていると判定した。

ポーラ化成工業は今後もお客のニーズに応える新技術の開発を行っていくとしている。