「キーマン」とは鍵を握る人物、組織などの重要人物、中心人物のこと。

化粧品開発の概念を変える日本発の技術になりそうだ。ポーラ化成工業が独自開発した「airlino(エアリノ)」は、セラミック技術から派生して生まれたウルトラファインバブル(UFB)製法に同社が得意とする化粧品の処方技術を掛け合わせることで実現したもの。多孔質セラミックスから水中に空気を押し出し、「ちぎる」ことでUFBを発生させる。このプロセスに特定の化粧品原料を混ぜることで、1ミリリットルの液中に約14億個(純水の20倍以上)の高濃度でUFBを封入することに成功するとともに、必要な濃度を安定して維持する技術も確立した。エアリノを用いると、例えば、界面活性剤を使わなくても、空気の力で肌の汚れを落とすことが可能になる。このまま研究が進めば、化粧品の商品開発が様変わりすると注目を浴びる画期的な技術だ。その開発に携わった同社フロンティアリサーチセンターの仁王厚志氏に研究開発の舞台裏について語ってもらった。

世界中の研究者が驚きを隠さなかった

――エアリノの新規性は、どの点にあるのでしょうか。

仁王 化粧品領域に限った話ですが、天然資源である空気を使って、高機能な価値を付けられることです。一般的に化粧品では水と油を乳化する界面活性剤を用いて肌の汚れを落とします。どれだけ丁寧に肌を洗っても、微量とはいえ界面活性剤が肌に残ります。多くの生活者にとって刺激が少なくても、それが原因でピリピリを感じる生活者は一定数存在します。一方、常に人間の肌に触れている空気を使うエアリノは、刺激がない洗浄効果を付与することができるので、誰にでも安全安心の化粧品を提供できます。ただ、その効果はまだまだ低い。ちょっと皮脂を落とすことは十分にできますが、生活者が納得する実用化には道半ばです。

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