「キーマン」とは鍵を握る人物、組織などの重要人物、中心人物のこと。

サンジブ・メフタ(Sanjiv Mehta)氏は、インド経済界の重鎮である。消費財メーカーのユニリーバで32年間のキャリアを積み、そのうち21年間はエグゼクティブチェアマン/CEOとして南アジア、東南アジア、中東、北アフリカの25カ国でビジネスを指揮した。同社インド法人「ヒンドゥスタン・ユニリーバ(HUL)」の時価総額は、同氏が会長兼CEOを務めた10年間で5倍以上の6兆3000億ルピー(760億ドル相当)になった。現在は、コンシューマー業界に特化した米系グローバルプライベートエクイティファンド「Lキャタルトン・インディア(L Catterton)」のエグゼクティブチェアマンを務めている。2025年1月、コーセーがインド企業に投資したのを機に、インド市場参入を検討する日本企業が増えているが、商機はあるのだろうか。初来日したサンジブ・メフタ氏(以下メフタ・敬称略)にインド市場のポテンシャルと消費財事業のポイントについて話を聞いた。

中間層を飛躍的に拡大した第4次産業革命

――インド経済のポテンシャルはいかがでしょうか。

メフタ 日本人はインドになじみが薄いでしょうから、少し歴史を振り返りながら説明します。インド帝国は世界のGDP(国内総生産)の約25%を占めていました。しかし、1947年の独立時、インドのGDP成長率はほぼ0%。その後、約40年間は民主主義の下、資本経済を回していたものの、投資は公的セクターに集中しており、成長率は0.5%程度が続きました。インド経済の転機は91年に起きた債務危機です。翌92年にIMF(国際通貨基金)・世界銀行から25億ドルの融資を得るとともに、構造調整プログラムを受け入れ、経済自由化に着手。そこからGDPは平均6.5%も増え続け、直近3年間は8%増で世界トップの成長率になっています。今後3年間でドイツと日本を抜き、世界第3位の経済大国になるのは間違いありません。

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