英国の美容市場で近年注目されている語彙の一つが「コスメシューティカル(cosmeceuticals)」である。これは化粧品(コスメティクス)と医薬品(ファーマシューティカルス)を組み合わせた造語で、肌の外見を整えるだけでなく、生理機能に働きかける可能性のある成分を含むスキンケアとコスメ商品を指して使われることが多い。抗酸化成分、ビタミン、レチノイド、ペプチドなど生理活性を持つ成分を比較的高濃度で配合する点が特徴で、従来の化粧品と医薬品の境界線にまたがる存在として語られている。なお、これは薬事法などで規定される法的なカテゴリー名ではないが、皮膚科学の研究成果を美容商品に応用するという潮流を象徴する概念として、英米で広く使われるようになっている。
このカテゴリーが拡大した背景には医療美容の普及がある。英国ではレーザー治療、ボトックス、フィラー、ケミカルピーリングなどの美容施術が広い年齢層に一般化し、クリニックでの処置と日常のスキンケアを連続したものとして捉える消費者が増えている。日本でも近年登場しているが、歯科クリニックでの美容施術サービスも静かに増えているのが英国の特徴的なトレンドだ。もともと歯の審美治療(ホワイトニング、ラミネートベニア、インプラントなど)を通じ「笑顔の美しさ」を扱ってきた延長として、口周りの美容的改善を提供したところ好評だったため、歯科医が「副業」として行うようになったそうだ。高度な美容施術を行う「メディカルスパ」もいくつかできている。英国美容外科学会の年次調査によれば、英国で行われた美容外科手術は2024年に2万7462件に達し、前年から約5%増加した。美容医療の需要はコロナ禍後も拡大傾向にある。患者全体の約93.5%を女性が占めるが、男性のアンチエイジング施術への関心も高まりつつある。
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