日本メナード化粧品は、肌・骨・関節のコラーゲン産生を高める独自の食品用低分子コラーゲンを開発した。また、同成分が、全身の細胞でコラーゲン合成を制御する「TGF-β/Smadシグナル」に作用し、コラーゲン産生を効率的に促進することを確認した。加齢により低下するコラーゲン量を維持することで、肌のハリや身体機能の維持・向上が期待される。
コラーゲンは体内のタンパク質の約3分の1を占め、全身に広く存在し、美容と健康の維持に重要な役割を果たしている。特に、肌・骨・関節には豊富に含まれており、肌のハリや弾力、骨のしなやかさ、関節のなめらかな動きなど、全身の美しさと健やかさを支えている(図1)。
しかし、加齢に伴いその量は減少し、シワ・タルミの発生や骨折リスクの増大など、さまざまな機能低下につながる。これらを防ぐためには、体内でのコラーゲン産生を促進し、その量を維持・向上させることが重要だ(図2)。
メナードはこれまで、肌への浸透性や有効性を高める化粧品用のコラーゲンの研究を進めてきた。コラーゲンは分子量が非常に大きく、そのままでは体内に吸収されにくいという課題があった。これに対し、コラーゲンを酵素で低分子化(細かく分解)することで、吸収性や有効性が高まることが明らかになってきた。
メナードはこれまでに、グリシルプロリン(GP)というジペプチドを高含有する低分子コラーゲンが、コラーゲン線維を束ねて太く丈夫にするなど、肌に対して高い有効性を示すことを見いだしてきた。この知見から、GPは肌以外の組織におけるコラーゲン産生にも効果を発揮する可能性があると考えた。
全身のさまざまな部位のコラーゲン量を高めるためには、食品として摂取し、体内からアプローチすることが有効だ。しかし、食品に配合できる低分子コラーゲンは、製造条件などにおいて化粧品用とは異なる制約がある。そこでメナードは、低分子化に用いる酵素の種類や反応条件を最適化することで、GPを高含有する新たな食品用低分子コラーゲンの開発に成功した(図3)。
体内のコラーゲン合成を制御する主要な経路の一つに、TGF-β/Smadシグナルがある。サイトカインの一種であるTGF-β(TransformingGrowthFactor-β)が細胞膜上の受容体に結合すると、SMADと呼ばれるタンパク質群を介してシグナルが核内へ伝達され、コラーゲン合成が促進される。コラーゲン合成の中心的な役割を担っているSMAD2/3(SMAD2またはSMAD3)は、リン酸化により活性化されると核内へ移行し、他の因子と複合体を形成して、コラーゲン遺伝子の発現を促進する。
なお、線維芽細胞の継代老化に伴い、SMAD2およびSMAD3の遺伝子発現が低下することが確認された。加齢に伴うコラーゲン量の減少は、これら因子の機能低下が一因であると考えられる。
今回開発した食品用低分子コラーゲンを肌・骨・関節の細胞(それぞれ、線維芽細胞、骨芽細胞、軟骨細胞)に添加して培養した結果、各細胞においてSMAD2/3の活性化が促進された*¹(図4)。さらに、各組織における主要なコラーゲンの産生が促進されることも確認された*²(図5)。
TGF-β/Smadシグナルは、全身の細胞におけるコラーゲン合成のスイッチを入れる重要な“司令塔”である。さまざまな組織において共通して存在する経路であることから、同成分はSMAD2/3を活性化することで、全身の幅広い部位におけるコラーゲン産生を高めることが期待できる。
今回開発した低分子コラーゲンは、全身のコラーゲン量を高める新たな食品成分として、美容と健康の両面からの応用が期待できる。今後は同研究成果を活用し、健康食品の開発を進めていく。なお、同研究の成果の一部は2026年5月15~17日にかけて高松市で開催された「第80回日本栄養・食糧学会大会」にて発表した。
※1 SMAD2/3は、リン酸化して活性化すると核内へ移行するため、核内へ移行した量が活性化の指標となる。
※2 産生促進を確認した種類 肌・骨:Ⅰ型コラーゲン、関節:Ⅱ型コラーゲン




























