本稿の前編と中編では、化粧品の「個対応(パーソナライズ)」について、日本市場の現在地と普及を阻む四つの構造的な要因、セルフ診断と体験型診断の現状と将来展望について示してきた。最終回の後編では、海外の先進事例を示した後、日本企業が持つポテンシャルに触れる。

欧米のテクノロジーと韓国の巧みな法制度

海外に目を向けると、欧米の大手ブランドがテクノロジーを駆使した先進事例を生み出している。フランスのランコムは早くからカスタムメイドのファンデーションサービス「ル・タン・パーティキュリエ(Le Teint Particulier)」を開発し、店頭の専用機器で顧客の肌色を計測して、その場でピッタリの色味のファンデーションを調合する試みを展開していた。このサービスは2010年代後半に北米や英国の一部店舗で導入され、自分の名前入りのオーダーメイドファンデーションが手に入るという斬新さが話題となった(https://www.loreal.com/en/articles/brands/teint-particulier/)。

また米国発のスキンケアブランド「スキンシューティカルズ」は親会社ロレアルのテクノロジーインキュベーターと共同で「カスタムD.O.S.E.」という店頭調合型パーソナライズ美容液システムを開発した(https://www.loreal.com/en/news/research-innovation/custom-dose-tailormade-skincare-by-loreal-skinceuticals/)。3Dプリンターにも似た見た目の機械にカウンセリング結果を入力すると、シワ改善成分や美白成分など必要なアクティブ成分をその場で混合して美容液を調製する。多数の処方アルゴリズムを備え、従来は工場でしか配合できなかった高度な成分も店頭で扱える点が画期的だ。ロレアルは「小さなスキンケアラボを店頭に置いたようなものだ」と述べ、顧客のパーソナライズ需要にテクノロジーで応える意欲を示している。

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