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人類は睡眠に人生の3分の1を費やしており、睡眠は生きるための必須の行為である。睡眠が損なわれることで心身ともに健康が失われることは、これまで経験的にも学術的にも証明されている。近年、社会の近代化やIT化、生活環境の変化に伴い睡眠不足に多くのヒトが悩まされており、その経済損失は、世界で数百兆円とも言われている。このようなアンメットニーズに対して、多くの企業がスリープケアやスリープテックと称し、多くの製品やサービスを市場に投入しており、睡眠市場の盛り上がりが感じられる。一方で、睡眠に対する科学的理解はまだ発展途上である中、市場が先行して睡眠を訴求し始めており、消費者が何を正しいと判断するかの軸がないまま市場拡大しているという事実も否めない。この潮流は化粧品市場でも同様である。そこで今回は睡眠の基本的知識から始め、睡眠と皮膚の関係性を深掘りしながら、睡眠皮膚研究の最前線を論じていく。

睡眠の定義とはそもそも何か

睡眠とは何か。睡眠は誰もが日常的に経験する現象でありながら、その本質を定義することは容易ではない。哺乳類における睡眠を具体的に定義すると、睡眠とは「意識が一時的に停止し、外部刺激への感受性が低下する状態」である。この状態は体内から発生し、概日リズム(体内時計)によって制御されている。また、睡眠中であっても完全に意識が失われるわけではなく、覚醒可能な状態を維持していると定義される。

睡眠はすべての動物に見られる現象であるが、実はその長さは種ごとに大きく異なる。一般的に、運動量が多く、体重あたりのエネルギー消費が大きい動物ほど、睡眠時間が長い傾向がある。このことから、睡眠は覚醒中に蓄積した疲労を回復し、同時にエネルギーを効率よく節約するための重要な生理現象であるといわれている。人間の場合、睡眠時間や深い睡眠が年齢とともに短くなるが、加齢とともにエネルギー消費量が減少することを考えると、この理由も頷ける。

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