医薬品医療機器等法(薬機法)における化粧品の定義は、「化粧品とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされているもので、人体に対する作用が緩和なもの」とある。特にスキンケア市場における「緩和な作用」に対する生活者の大きな期待とニーズは疑う余地がない。2013年の動物実験廃止に伴って、この「緩和な作用」を生み出すための化粧品有効成分開発方針が大きく変化したが、現状の理解と最新科学によるその課題解決の一端について論じたいと思う。

動物実験廃止による安全性評価への影響

1980年代より動物実験代替法の重要性を提唱する声が世界中で高まり、欧州連合(EU)が2013年3月11日以降、EU内で動物実験を行った原料を配合するすべての化粧品の販売を禁止したことを皮切りに、日本でも複数の化粧品メーカーが動物実験を廃止することとなった。各化粧品メーカーはそれまで成分の安全性試験および有効性試験を動物実験に頼っており、この世界的変化に伴い、評価法だけではなく、成分開発方針の大転換を余儀なくされた。

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