美容系リキッドバイオプシー(液体生検)は、美容業界で近年進む、血液や唾液などの体液を分析して肌や身体の状態を把握し、美容に生かそうとするアプローチだ。顧客へのサービスを変え、市場拡大に結びつく可能性がある。前編では、多様な技術があることに加え、そこに潜む課題について論じた。後編では、顧客への便益、市場インパクト、そして未来展望について考察する。
顧客の便益は大きく三つ
では、こうした美容系リキッドバイオプシーの活用によって顧客(消費者)に具体的にどんなメリットがあるのかを考えてみる。
第1に挙げられるのは、真に個別化された美容ケアが可能になる点だ。自分の体質や現在のコンディションに合わせて製品やケア方法を選べるため、「やみくもに流行の商品を試す」必要が減り、効率的に効果を実感できる可能性が高まる。特に近年市場に多種多様な製品が増え、消費者の選択が困難を極めていることからも市場課題として顕在化している事例でもある。例えば前述のホルモン検査サービスでは、肌トラブルの原因となっているホルモンのアンバランスを特定し、それを整えるための生活習慣やスキンケアのアドバイスが提供される。これにより個々の原因にアプローチできるため、対症療法的に次々とコスメを変えるよりも長期的な改善が期待できる。
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