9月2日のサントリーHD新浪剛史会長の辞任発表と緊急記者会見はインパクトがあった。理由が違法な大麻サプリの購入の疑いと福岡県警による家宅捜索。新浪氏は経営者としてのみならず、経済同友会代表幹事など財界人としても日本を代表する人物だった。辞任をめぐってはなお、マスコミやネットなどでさまざまに論じられている。ただ、関心は薬物疑惑の行方と新浪氏の個人的な問題に向けられており、サントリーに強い批判は寄せられていない。大規模な不買運動なども生じていない。経営トップが警察の捜査対象になる重大なクライシスを適切な判断と細心の注意で乗り越えつつある。今後の危機管理の手本になると思われる。

今回の疑惑について新浪氏は違法性を強く否定。辞任については週刊文春のインタビューでサントリー側から強く求められ、辞任しないなら解任と言われたとする。サントリーと新浪氏には認識の食い違いが生じているともいえよう。が、そもそもサントリーには自主的な「辞任」を求める、これに応じないのであれば「解任」の判断しかなかった。新浪氏の経営手腕は賞賛に値する。ただ、米蒸留酒メーカー・ビーム統合が象徴する業績への貢献、経済同友会代表幹事、数々の政府委員としての活動を鑑みても、会長続投となればサントリーという企業の事業から見て生じるリスクが高すぎるからだ。

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