花の都パリの中心部を歩くと、韓国コスメ専門の路面店がいくつも目に入る。アジアンビューティーをうたう店も、店内を覗くと韓国ブランドばかり。パリ市庁舎の向かいにある百貨店BHV Marais(ベー・アッシュ・ヴェー・マレ)の催事場では韓国の化粧品、美容機器、食、酒、お菓子などが一堂に会するイベントが開かれていた。韓国コスメとは対照的に、パリで日本の化粧品ブランドを見掛ける機会は非常に少ない。ロレアル、LVMHなど世界有数の化粧品メーカーが本社を構え、自国のビューティー産業に強い自負心を持つフランス人は、なぜ韓国コスメを受け入れ始めたのだろうか。
じつは国内景気と関係がある。フランス国立統計局は2025年9月11日、今年の経済成長率が0.8%になる見込みで、24年の1.1%を下回ると公表した。しかも個人消費は弱く、経済成長を下支えするのは航空産業や観光業、農業などの回復だという。米国トランプ大統領が仕掛けた関税圧力により欧州と米国に対立構造が生まれ、ロシアとウクライナの戦争、中東問題が景気に冷や水を浴びせている。消費者の財布の紐は固くなり、特に若年層は価格に敏感になっている。だから、低価格でも、一定の品質が担保されている韓国コスメに手を伸ばす若年層が増加。韓国勢がTikTokなどのSNSで販促策を打ち、若年層にアプローチしていることも功を奏している。
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