人類は、化粧品や医薬品の有効成分を皮膚内に送達させるために、ドラッグデリバリーシステム(DDS)を追求している。前編では皮膚透過・経皮吸収の仕組み、最新技術の概要について論じた。今回の後編では皮膚透過技術が直面する技術的な課題から市場や規制の課題、さらに化粧品における皮膚透過技術の将来展望について論じる。

成分透過の可視化がトレンドの一つ

皮膚透過における最大の技術的ボトルネックは、やはり皮膚の角層という強力なバリアである。近年、高分子のペプチドやタンパク質など(コラーゲン、ヒアルロン酸、EGFなどの成長因子)を有効成分とする化粧品が多く見受けられるようになってきている。しかし、現状では大きな分子量を有するペプチド・タンパク質医薬品や水溶性の高い薬物、あるいは高用量を要する成分については、従来の技術では経皮投与が極めて困難である〈Drug Deliv.2006 May-Jun;13(3):175-87.〉。この根本的な制約を克服するためには、マイクロニードルやエレクトロポレーションなどを用いて一時的にバリアを開く方法、または今以上に画期的な浸透促進剤やドラッグキャリアの開発が必要とされる。

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