はじめに

コロナ禍以降、自らの健康を自らで守らなければならない、あるいは病気にならないように予防しなければならない、といった意識が強くなっている。一方、医師への受診については、医療機関では感染の危険があるということもあり、少し避けられる傾向が出てきた。このような流れから、セルフメディケーションや、ひいては健康食品の購入といった、自らが積極的に購買行動を行うことにより健康を維持していこうという動きが強くなってきていると考えられる。本項では消費者の健康食品への考え方を、近年話題になることが多い睡眠関連の健康食品を例に事前期待、ヘルスリテラシーとの関係で考察してみたい。

機能性表示食品市場の拡大

人生100年時代を迎え、長い人生を健康で過ごすため、疾患の予防や日々の健康維持管理の重要性が高まっている。消費者の健康意識の高まりを受けて、生活習慣病予防関連指標への対策を機能とする機能性表示食品の需要が好調に推移している。中でもストレス緩和・睡眠サポートの飲食料市場は調査が開始された2013年の11億円から20年には161億円に増加、22年には331億円の見込みと急拡大している(注1)。睡眠の質を高める機能性表示食品の種類は飲料タイプのものから、チョコレートタイプ、錠剤・軟カプセル等があり多岐にわたる。なお、「睡眠の質」をここでは定義として、「ぐっすり寝たという感覚があり、目覚めが良く昼間の疲労感が少ない」とする。
1 読売新聞オンライン 2022/06/18 13:40
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220618-OYT1T50157/

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