利益を生み、投資を増やし、トップラインを上げて、さらに投資の原資を得る。事業拡大と利益創出の好循環を生み出し、売上高4000億円、営業利益率15%を狙うのが、花王の化粧品事業戦略の中身である。実現の鍵はグローバル・シャープトップ戦略が握る。6ブランドに投資を集中し、日本から欧州を狙う「日本発型」、欧州からアジアに展開する「欧州発型」、日本からアジアを開拓する「アジア型」の事業モデルに注力。三本の矢を放った花王は、総売上高の約20%を稼ぐ化粧品事業の強化に自信を持っている。同社の内山智子執行役員(化粧品事業部門長)は「2025年の実績は順調に推移していますが、27年までに収益基盤を整え、その後の持続的成長を目指す。目標達成の前倒しに挑みます」と意気込んでいる。
花王が事業拡大と利益創出の両立を強く意識するのは、過去の苦境から学びを得たからだ。2010年代は急拡大した中国人需要を取り込んだ。特に中国本土とインバウンドの需要が旺盛で、売り上げ、利益ともに右肩上がりに上昇した。だが、中国人需要頼みの事業構造は、コロナ禍の逆風を強く受けた。社会のデジタル化が加速し、各国の生活様式が変化。その対応にめどが付いたと思ったら、今度はALPS処理水問題により中国本土のビジネスが苦境に陥った。
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