マンダムは今回、ストレスを感じ、睡眠に課題を抱えている生活者が、自律神経系や中枢神経系に対して鎮静作用(リラックス作用)を示す特定の香料を配合したスキンケアアイテムを継続使用した結果、睡眠の質が上がる傾向にあり、入眠までの時間が短縮、さらに肌の明るさが向上することを確認した。これらの成果は、香料のリラックス作用が日常生活における睡眠状態や肌状態にまでポジティブな影響をもたらす可能性を示唆するものである。マンダムでは「肌が喜び心も喜ぶスキンケア」の実現を目指し、皮膚研究のみならず感性研究を通じて製品開発を進めている。同社は今後も「香り」に加え、多面的な観点から感性研究を推進し、「肌が喜び心も喜ぶスキンケア」の開発に取り組んでいくとしている。

同研究成果については、2025年9月17~19日に開催された「第27回日本感性工学会大会」にて発表した。

香りは嗅覚刺激にとどまらず、記憶や感情、自律神経系や中枢神経系にまで影響を及ぼすことが知られており、ストレス緩和や睡眠改善への効果も期待されている。マンダムのこれまでの研究においても、マンダムが開発した特定の香料(香料A)が自律神経系や中枢神経系に対して、鎮静作用(リラックス作用)を示すことが明らかになっている。

さらに、香料Aを用いたスキンケアが生活者の心や肌にどのような効果をもたらすのかを明らかにできれば、「肌が喜び心も喜ぶスキンケア」の実現につながると考えた。そこで今回、香料Aを配合したスキンケアアイテムを継続使用し、肌状態の変化とリラックス実感及び睡眠の状態に着目して研究を行った。

同研究では、ストレスを感じている女性を対象に、香料Aを配合したスキンケアアイテム(クレンジング、化粧水、クリームの3品)を約4週間継続使用した。使用前後の比較により睡眠や肌状態の変化を確認し、さらに香料Aの有無による群比較により、継続使用後のリラックス実感についても評価を行った。

実験の対象はストレスチェックリストで軽度~中程度のストレス状態であり、かつ睡眠に課題を抱える25~48歳の日本人女性36名。

試験試料および群名は「香料Aを配合したスキンケア製品(クレンジング、化粧水、クリーム)」を賦香群、「香料A無配合のスキンケア製品(クレンジング、化粧水、クリーム)」を無賦香群と呼び分けた。

評価項目および方法は、以下の四つ。

・総合的な睡眠の質:ピッツバーグ睡眠質問票 日本語版(PSQI-J)

・肌の明るさ(L*値):分光測色計

・シミスコア(シミの目立ちやすさ):VISIA® Evolutionシステム

・リラックス実感:アンケート

評価で用いたピッツバーグの睡眠質問票とは、過去1ヶ月間の主観的な睡眠の質を総合的に評価するための質問票。睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠困難、睡眠薬の使用、日中覚醒困難の7要素が合計得点として算出できる。

実験の結果、三つの結果が得られた。

1.賦香群は継続使用により、睡眠の質が上昇傾向にあり入眠までの時間が短縮
賦香群は、ピッツバーグ睡眠質問票 日本語版(PSQI-J)の得点が低下傾向を示し、総合的な睡眠の質が改善傾向にあることが確認された(図1)。中でも「入眠潜時(就寝から入眠までの時間)」の得点が有意に低下し、就寝してから入眠までの時間が短縮したと評価された(図2)。

2.賦香群は継続使用により肌の明るさが向上し、シミの目立ちやすさが低下

肌状態については、継続使用により賦香群で肌の明るさ(L*値)が有意に向上した(図3)。

また、画像解析システム(VISIA® Evolution)によるシミスコアが有意に改善(低下)した(図4)。シミスコアは画像解析によって算出されるシミの目立ちやすさの指標であり、肌の明るさが向上したことでシミが目立ちにくくなり、その結果スコアが改善したと考えられる。

これらの結果から、香料Aを配合したスキンケアアイテムの継続使用による、肌への効果が示された。

3.賦香群では、無賦香群と比べて継続使用後のリラックス実感が高い

継続使用後のリラックス感をアンケートで評価した結果、賦香群ではリラックス実感が有意に改善していた(図5)。

今回の研究では、香料Aを配合したスキンケアアイテムを継続使用することで、睡眠や肌状態の改善、そしてリラックス実感の向上が確認された。これらの結果は、香料Aのリラックス作用が心理的な安らぎをもたらし、その安らぎが睡眠や肌状態の改善にも関与している可能性を示している。