カンナビジオール(CBD)は近年、国内外の学術および産業界で急速に注目されている化合物である。大麻草由来というイメージから誤解や不安も根強いが、一方で心身のケアやウェルネス分野での有用性が期待され、市場規模も拡大傾向にある(https://www.euromonitor.com/article/cannabis_market_trend_in_japan_2024)。本稿はCBDの「光」の側面だけではなく「闇」にも焦点を当て、効果・効能やメリットに加え、市場や原料を取り巻く課題について論じる。CBDを正しく理解する一助になれば幸いである。
人類と大麻草の歴史を振り返る
CBDは、大麻草(カンナビス)に含まれる化合物「カンナビノイド」の一種である(https://www.who.int/publications/m/item/cannabidiol)。大麻草には約540種の化学成分が認められ、そのうち100種類以上がカンナビノイドとして同定されている。主要なカンナビノイドには精神作用を有するテトラヒドロカンナビノール(THC)および非精神性のカンナビジオール(CBD)が挙げられる。両者の分子式は共通であるものの、生体への作用は大きく異なる。THCはいわゆる「ハイ」になる酩酊作用(精神活性効果)を有する一方、CBDにはそういった作用は確認されておらず、依存性や陶酔感を誘発しない(https://www.who.int/publications/m/item/cannabidiol)。
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