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コンクリート研究会で発想の転換が生まれた

日焼け止めの理想は、心地よく肌に塗れて、効果が長時間続くことだ。主な剤型は、撥水性に優れるが使い心地に難がある「オイルベース」と、使用感を高めるほど汗に弱くなる「ウォーターベース」の二つ。両方の長所を持つ剤型がなかったのは二律背反の難題だったからだ。ポーラ化成工業の中谷明弘研究員は、新たに「ファイバー乳化」という手法を開発。みずみずしい使用感と汗や水に強い耐久性を兼ね備えた日焼け止め剤を実現し、常識を打ち破った。「10年前から没頭した日焼け止めの研究の集大成と言える技術を開発できた」と中谷研究員は破顔する。

ポーラ化成工業
中谷明弘研究員

中谷研究員は、日焼け止めの難題をユニークな発想で解決した。2020年初頭、化粧品研究の範疇から脱しなければ発想が狭くなると考え、異分野のコンクリートの研究会に足を運び、光の干渉を利用してモノの表面や断面画像を見る技術「OCT(光干渉断層撮影)」に出会った。「OCTを使うと、自販機で売られているコーンポタージュ缶の中に残ったコーンの数が見える、という発表を聞いて、応用すれば肌とその上に乗っている日焼け止めの断面がリアルタイムで見えるのではないかと思った」(中谷研究員)。これが究極の日焼け止め剤の出発点になった。

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