ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業は、異なるプラスチック材質を分離する容器技術を開発した。三菱ケミカルが製造する、水に溶ける特殊材料(ニチゴーGポリマーTM;ビニルアルコール系樹脂)を中間層に用いることで、使用済み容器を水に浸して攪拌するだけで材質ごとに分離できるという画期的なものだ(図1)。これにより、高品質なリサイクル材の回収と再利用を実現し、従来困難だった積層構造容器のマテリアルリサイクルが可能となる。
マテリアルリサイクルとは、処理方法に応じて「サーマルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「マテリアルリサイクル」の三つに分類されるうちの一つ。(図3)
一般的に化粧品容器は、紫外線や酸素などから内容物を守る機能に加え、使用性やデザイン性を兼ね備える必要があるため、容器の種類によっては複数のプラスチックを積層構造で使用している。しかし異なる材質が強固に接着してあるため、材質ごとの分離が困難で高品質なマテリアルリサイクルが難しいという課題があった。この課題に対し、プラスチックを材質ごとに分離する化粧品容器技術を開発した。
同技術の中核となるニチゴーGポリマーTMは、水に溶けるという機能に加え、気体や油分を遮断するバリア性を有し、内容物の品質保持にも寄与する。同材料を化粧品容器の中間層として用いることで、使用済み容器を粉砕した後、水中で洗浄処理することにより、材質ごとに分離できることが可能となった(図2)。これにより、積層構造容器でも、簡便かつ低コストで高品質なリサイクル材の回収が可能となり、マテリアルリサイクルの推進に大きく貢献する。さらに、生分解性を有する環境配慮型材料であることから、持続可能な容器設計の実現にも貢献する。同材料を化粧品容器へ応用するのは日本で初めての取り組みだ。
同技術は、リサイクルに課題があるとされていたチューブ容器において実現したが、チューブ容器にとどまらず幅広い活用が期待できる。分離を前提とした容器設計により、プラスチックリサイクルの概念を大きく進化させるマイルストーンとなる可能性を有している。
三菱ケミカルは、資源循環に貢献する素材の提供によって、社会のサステナビリティ実現に寄与していき、ポーラ化成工業は、使用済み容器からの材質別分離・回収という新たなリサイクルの可能性を世界に広く提案し、マテリアルリサイクルの革新とSDGsの目標達成に寄与していくとしている。ポーラ・オルビスホールディングスは、2029年までに化粧品プラスチック容器・包材の100%サステナブル設計(4R:Reduce/Reuse/Replace/Recycle)の実現を目指し、プラスチック使用量の削減とリサイクルの促進に取り組んでいる。今回の取り組みもその一環となる。
リサイクルの分類
リサイクルは、処理方法に応じて3種に分類される(図3)。
一つ目のサーマルリサイクルは、廃プラスチックを燃料として焼却し、その際に生じる熱を発電などに再利用する方法。プラスチックそのものを再び製品として戻すことはできない。
二つ目のケミカルリサイクルは、廃プラスチックを化学的に分解し、プラスチックの原料として再利用できる形に戻す方法。分別が難しいプラスチックにも対応可能。高温・高圧などの特殊な処理が必要なため設備投資や運用コストが高く、多くのエネルギーを消費する。
今回の取り組みに該当するマテリアルリサイクルは、廃プラスチックを物理的に裁断・洗浄し、新たな製品のプラスチック材料として再利用する方法。ケミカルリサイクルに比べて設備投資が抑えられ、比較的低コスト・低エネルギーで資源循環が可能だ。
化粧品容器を分離せずにマテリアルリサイクルに用いると、材質の異なるプラスチックは均一に混ざり合いにくいため、品質が著しく低下してしまう(図4)。積層構造の容器は異なるプラスチック層同士を強固に接着する必要があるため、材質ごとの分離が困難で、結果として同じ製品へのリサイクルができない/用途が限定されることが課題となっていた。


























