佐藤久美子(さとう・くみこ)
1996年から化粧品輸入ビジネスに従事。「スイスライン」「ユイルエボーム」といったブランドを日本市場に導入。エコサート認証コスメとの出会いをきっかけにオーガニックコスメのセレクトショップ「オーガニックマーケット」をオープン。1999年よりSLJ代表取締役。
環境意識が新処方の登場を促す
ロンドンからの帰路、クリーンビューティーをあれこれ考えていたら、そういえば狂牛病は英国で発生したのではなかったか、とふと思い出した。衝撃的な写真が世界を駆け巡った大ニュースは、化粧品業界にも影響を及ぼした。反すう動物由来のプラセンタ原料は使用禁止になり、当時、スイスのプラセンタコスメが主力であった弊社SLJは、販売中止を余儀なくされ危機的な状況に陥った。その後に出会ったオーガニックコスメに救われ、今があるのだが、振り返ると農業大国でもあるフランスの人たちのオーガニックに対する意識は、その時すでにとても高かった。チェルノブイリの原発事故がきっかけであったのか、出会うオーガニックコスメのブランドオーナーたちは皆、化合物への恐れを口にし、「土」すなわち大地、地球を守る使命感にあふれていた。狂牛病も自然の成り立ちに反した人間のエゴからの発生であり、環境汚染、自然破壊、地球温暖化が問題視され始めた。この20年で大きく様変わりした世界は今、環境への配慮、農薬、化合物不使用、持続可能であることが当たり前になりつつあり、クリーンビューティーにつながっている。
最近、新しくデビューするブランドや既存の老舗メーカーが出す新製品には、必ずと言っていいほどクリーンビューティーにまつわるワードが登場する。「サステナビリティ」や「オーガニック」「アップサイクル」等々だ。そんな中、先日見つけたフランスの「COTTAN(コタン)」は、本社をベルギーに置く化粧品認証機関「biorius(ビオリウス)」のクリーンビューティー認証をスキンケアとして受けているブランドなのだが、その誕生の歴史は19世紀のパリにさかのぼる。
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