一般社団法人日本セルフケア推進協議会(JSPA)は2025年5月19日、24年度の活動結果を報告するとともに、25年度の活動方針を公表した。
健康サイクル検討部会においては、「健康サイクルシミュレーション・ワーキンググループ」で京都大学大学院医学研究科薬剤疫学分野の協力の下で行った生活習慣病領域のスイッチOTC化による公的医療保険の公費負担への影響についての解析結果を報告。レセプトデータを用いた解析により、75歳未満の高血圧症で2573億円、脂質異常症で786億円、糖尿病で152億円の公的医療保険の公費負担削減が期待されることが示唆された。また、長期収載品を含めた全体で2兆8000億円規模の公的医療保険の公費負担削減が期待されることが示された。25年度は早期の論文掲載を目指し、論文投稿の準備を進める考えだ。
生活者参画部会では、「日本型セルフケア」の促進に向け、行動変容などを検討する実証試験であるブルーゾーンプロジェクトの「水都大垣セルフケア・トライアル」が22年度に論文掲載。その結果に基づき23年度に発足された「岐阜モーニングプロジェクト」では、24年7〜9月に岐阜県岐阜市および山県市で予備的な試験を実施し、93名の一般生活者が参画し、同プロジェクトの実現可能性が確認された。このプロジェクトでは、薬剤師が喫茶店で健康に関するレクチャーを行い、食事を記録するアプリなど最新のIT技術を活用して健康意識を高め、生活者の行動変容を促す。25年度は岐阜県や岐阜県薬剤師会、岐阜県喫茶組合などの協力を得て、800名の一般生活者を対象とした本試験の実施に向けた準備を進める。
広報部会においては、24年度は、人工知能(AI)の革命的な技術革新に対応して、生活者の健康寿命延伸および疾病などの予防対策につながる「日本型セルフケア」の実践を推奨し、必要な情報収集と発信の技術開発と実装の場の検討を行うために、会員および関係団体・関係機関、専門家を交えて、定期的に討議を実施。JSPAの発足時から継続して、「日本型セルフケア」に関する情報発信の場として「医学のあゆみ」を活用し、第23回「膵臓がんの治療とケア」、第24回「進行がんのセカンドオピニオン」を寄稿。また、特に日本人の2人に1人が罹患し、最大の死因となったがんに関しては、一般財団法人在宅がん療養財団と連携した情報発信に注力し、25年3月31日付で共同事業に関する基本合意書を締結した。25年度は新たに「生成AI活用ワーキング・グループ」を発足し、 生成AIを活用したセルフケア情報の提供に関して、一般財団法人在宅がん療養財団との共同事業としてAI搭載対話型がん相談サービス「ランタン」の社会実装に向けた取り組みを進める。★
月刊『国際商業』2025年07月号掲載