アース製薬の2024年12月期第3四半期業績は、売上高6.4%増の1348億5800万円、営業利益15.9%増の106億8500万円、経常利益11.1%増の110億4500万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は12.2%増の72億3600万円と増収2桁増益だった。
売り上げは、入浴剤が依然として厳しい競争環境が続き減収となった一方で、国内の良好な気象条件を背景に虫ケア用品が好調に推移、また海外事業および総合環境衛生事業も引き続き伸長したこともあり、増収となった。利益面では、増収に伴う売上総利益の増加により、原材料価格高騰の影響や人件費、広告宣伝費の増加を補い、2桁増益となった。
セグメントの業績を見ると、家庭用品事業では入浴剤は厳しい競争環境が続いたが、虫ケア用品の新製品の寄与や価格改定施策効果の顕在化、ASEAN・中国、輸出事業の売上増加などがあり、売上高は6.4%増の1198億4200万円、営業利益は、増収に伴う売上総利益の増加が寄与し、20.5%増の91億4100万円と大幅増益となった。
同事業の中の虫ケア用品部門は、国内では年初からの好天が7月以降も継続したことに加え、昨年同様に残暑が長期にわたり続き、市場は拡大。その伸長に伴い、ゴキブリ用、ダニを含む不快害虫用、虫よけ等の出荷が順調に推移しており、新製品「ゴキッシュ スッ、スゴい!」「ゼロノナイト ゴキブリ・トコジラミ用1プッシュ式スプレー」の販売も順調に推移した。また、価格改定施策の効果もあり、売り上げに寄与した。海外においては、ASEANや輸出事業の伸長の他、中国においてオフラインへの展開強化に戦略転換した効果も寄与。これらの結果、同部門の売上高は9.7%増の628億2700万円となった。
日用品部門の売上高は0.4%増の481億5600万円と横ばい。同部門の口腔衛生用品分野においては、厳しい競争環境が続いている中で、主力の洗口液「モンダミン プレミアムケア」等が低調な推移となったが、若年層にターゲットを絞った秋季新製品である「ダモン」の計画通りの出荷などにより、売上高は3.6%増の60億800万円となった。
日用品部門入浴剤分野は、パッケージのリニューアルや新製品「温泡 デカまる」の投入により錠剤タイプの出荷は順調に推移しているものの、粉末タイプ「バスロマン」、粒剤タイプ「きき湯」等は低調な状況が続き、売上高は6.5%減の159億2900万円と苦戦した。
その他日用品分野においては、猛暑対策を目的としたシャツミストやネッククーラー等の冷却剤、女性用マスク、エアコン洗浄剤が伸長した他、ベトナムで取り扱う住居用洗剤が拡大し、売上高は4.3%増の262億1700万円となった。
ペット用品・その他部門の売上高は19.5%増の88億5900万円と堅調だった。ペット用品分野においては、飼い主のペットに対する健康意識の高まりやペットの住環境の充実等を受け、一頭あたりにかける費用は増加傾向にあり、ペット関連市場は好調を維持。こうした状況下、猫砂等のケア用品や機能性フード等の売り上げ拡大が寄与した。
総合環境衛生事業は、主要な顧客層である食品関連業界や医薬品関連業界、包材関連業界における食中毒予防対策や異物混入対策などの衛生管理対策が必須となっており、アース製薬グループが専門的な知識や技術、ノウハウをもって提供する高品質の衛生管理サービスへのニーズが高まっている状況にある。こうした中、人財育成、業務効率の改善を目的としたシステムの導入・開発など、お客のニーズに対応できる社内体制構築に向けた投資を積極化するとともに、産学官連携の共同研究も含め、技術開発力の強化により差別化された衛生管理サービスを提供することで、契約の維持・拡大と適正な利益の確保を図った。
その中でも、医薬品業界・再生医療業界へ向けた種々の取り組み、食品安全マネジメントに関する監査・コンサルタント業務の強化を継続した成果もあり、年間契約件数が順調に増加。契約件数と契約金額の順調な増加により、売上高は9.9%増の241億7200万円。利益面では、主な契約形態である年間契約やスポット契約における原価率の上昇による影響などがあったものの、増収に伴う売上総利益の増加により、営業利益は13.3%増の14億7800万円となった。
24年12月期通期業績は、売上高30億円、営業利益30億円、経常利益29億9000万円、親会社株主に帰属する当期純利益15億1000万円、それぞれ上方修正。売上高6.1%増の1680億円、営業利益5.8%減の60億円、経常利益3.5%減の65億5000万円、親会社株主に帰属する当期純利益19.6%減の33億円を見通す。
入浴剤や口腔衛生用品の販売が想定を下回る見込みである一方、年初からの好天や残暑が長引いたことなどの天候要因に加え、価格改定の成果が着実に発現したこともあり、虫ケア用品の販売が想定を上回る見込み。加えて、総合環境衛生事業において年間契約件数・金額とも想定を上回ること、MA-Tビジネスが当期想定を上回ること、海外での売り上げが概ね想定どおりであることなどを背景に、売上高は当初計画を上回る見込みだ。
利益面では、売り上げ振れおよび価格改定効果に加え、セールスミックスにより売上原価率が想定より良化することで、売上総利益が計画を上回る見込み。また販管費について、現在進めている収益構造改革にかかる費用の計上に加え、広告宣伝の追加など戦略的な費用投入を行うものの、全体的には計画の範囲内に収まる見込み。これらにより各段階で当初計画を上回る見通しだ。