アース製薬の2023年12月期通期業績は、売上高が前年同期比3.9%増の1583億4400万円、営業利益は14.8%減の63億7000万円、経常利益は16.5%減の67億9100万円、親会社株主に帰属する当期純利益は22.6%減の41億200万円と増収減益だった。国内では一年を通して全国的に気温が高めに推移したことで虫ケア用品の売上増加や返品数の減少につながった。また、ASEANでの売り上げが伸長した他、総合環境衛生事業の売上成長もあり、増収となった。利益面は、原材料価格の高騰や為替変動、売上構成の変化により売上原価率が前期を上回ったこと、販管費の増加などが影響した。

家庭用品事業の売上高は1.8%増の1390億700万円、セグメント利益は25.2%減の44億2000万円。価格改定施策の効果の顕在化や残暑が長引いたことに伴う虫ケア用品の需要の長期化などによる虫ケア用品部門の伸長、プレミアムフードなどの好調によるペット用品・その他部門の売上増加があった一方、市場環境の変化に伴い入浴剤やマスクの販売が前年を下回った。利益面では、原材料価格の高騰や為替変動に伴う影響に加え、売上構成の変化による売上原価率の前期を上回る上昇、物流コストの増加や人財投資に伴う人件費の増加などがあった。

虫ケア用品部門は、売上高は4.5%増の620億3100万円となった。返品削減施策に加え、天候の後押しもあり返品額が低減し、業績に寄与した。また、主力カテゴリーのゴキブリ用や不快害虫用の製品の売上が伸長した他、予防をコンセプトに展開しているマモルームブランドより新製品『マモルームゴキブリ用』を発売し、売上に貢献した。さらに価格改定効果の顕在化などもあり、市場シェアは22年比0.6ポイント増の56.9%となった。海外においては、中国は経済回復の弱さから売上が低迷したが、タイ・ベトナムを中心に売上の成長が継続した。

日用品部門の売上高は1.6%減の671億9900万円となった。口腔衛生用品分野の売上高は2.1%増の83億6400万円。汎用品の『モンダミンペパーミント』などの売上が前年を下回った。一方で、オールインワンの洗口液『モンダミンプレミアムケア』が売上を伸ばしたことに加えて、歯科医院の開拓が進んだことに伴う歯科医院専売の洗口液『モンダミンハビットプロ』の売上が伸長した。

入浴剤分野の売上高は3.4%減の260億4100万円。入浴剤の市場規模が前年を下回っり、同社グループも市場の動向に比例して低調な推移となった。その他日用品分野の売上高は1.0%減の327億9300万円。夏場の熱中症対策などとして保冷剤や冷却剤の売上が前年を上回った。また、消臭芳香剤『スッキーリ!』シリーズや掃除用品『らくハピ』シリーズなども売上に寄与したが、家庭用マスクや衣類用防虫剤の売上が前年を下回った。

ペット用品分野は、10.6%増の97億7600万円。ペット関連市場は好調さを維持しており、プレミアムフードや猫砂などのケア用品が売上を伸ばした。

総合環境衛生事業の売上高は3.9%増の290億7300万円、セグメント利益は1.5%増の14億5100万円。原価率の上昇や人財への積極投資に伴う人件費の増加などがあったものの、年間契約件数が伸長した。

24年12月期通期業績予想は、注力カテゴリーのブランド強化に向けた積極投資、人財投資などに伴う固定費などの発生から、売上高4.2%増の1650億円、営業利益52.9%減の30億円、経常利益47.6%減の35億6000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は56.4%減の17億9000万円と増収減益を見込む。