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コンビニエンスストアで韓国コスメが売れている。セブン-イレブンは5月29日に「CLIO(クリオ)」の姉妹ブランド「twinkle pop by.CLIO(トゥインクルポップ バイ クリオ)」の取り扱いを開始。2022年に韓国で誕生し、クリオのクオリティを維持しつつ、低価格な商品がラインアップされていることから、韓国Z世代から熱い支持を得ている。日本ではセブン-イレブンのみの先行発売ということもあり、コスメ好きの若年層が反応。売り上げは計画よりも跳ねているという。

コンビニの化粧品販売と言えば、旅行中など緊急需要に応えるもので、スキンケアやヘアケアが中心だった。「VTコスメティック」のシートマスクなど、韓国発のスキンケアが好調だったのも、その流れの中にある。しかし、「トゥインクルポップ」はメイクブランド。セブン-イレブン・ジャパン商品本部 雑貨・出版部 雑貨の遅澤明子マーチャンダイザーは「緊急需要が多い中、目的買いを促す仕掛けは、トゥインクルポップからの挑戦でした」と説明する。

クリオは日韓それぞれで知名度の高いブランドだ。しかし、セブン-イレブンはあえて日本未導入の姉妹ブランド「トゥインクルポップ」導入に踏み切った。独自ラインアップで他チャネルとの差別化を図れるとともに、価格帯がコンビニ利用者層と合致しているからだ。

クリオの人気アイシャドウパレットは約4000円、ティントリップも1500円以上と「コンビニで購入していただくには少し高い」(遅澤マーチャンダイザー)。一方の「トゥインクルポップ」は、アイシャドウパレットが約1400円、ティントリップも1000円以下である。既存の化粧品購買層とは異なる韓国トレンドを好む若年層を獲得できているから、売り上げが伸びているという。

一方、ローソンが23年3月に発売した「&nd by rom&nd(アンド バイ ロムアンド、以下アンド)」もメイクブランドで、好調な売り上げをキープしている。人気の韓国コスメブランド「rom&nd(ロムアンド)」との共同開発商品で、こちらも現段階ではローソンでしか購入できない。低価格・小容量で、トレンド感のあるメイクアイテムの数々は、もともとの狙いだった若年層に加え、コンビニの主要購買層である30〜40代も獲得し、売り上げが急増したという。

「ロムアンドのSNSでの発信力を生かし、発売前からローソンとしては化粧品で初のティザー広告を行うことで話題喚起に成功。アンドでは、コンビニを化粧品の新たな買い場と思ってくれるような仕掛けづくりができている」(ローソン商品本部 生活・日用品部の加藤愛チーフマーチャンダイザー)

大手2社が韓国ブランドを取り扱う中、ファミリーマートは独自の化粧品戦略で頭角を表している。同社は、「VTコスメティック」のCICAティンティッドリップバームなどで韓国コスメとの独自の取り組みが成功している一方、メイクブランドの「sopo(ソポ)」、オーガニックスキンケアブランドの「Mitea ORGANIC(ミティア)」のように、一からブランドを育て、差別性の高い売り場を構築している。特に、CosmeKitchen(コスメキッチン)との共同開発ブランドである「ミティア」は、ブランドスイッチが起こりにくく、コンビニでは難しいとされるスキンケアでの固定客育成に成功。昨対比2桁成長となっている。

「ミティア」の成功要因は、お客のライフスタイルを意識した動線づくりだ。例えば、仕事帰りは疲労困憊。自炊は面倒だから食事を買いに来たお客に、肌のスペシャルケアに用いるシートマスクの存在に気が付いてもらえるように売り場を工夫。その結果、幅広い年齢層が食事と一緒にミティアを買うようになっているという。「ワンデートライアルセットからの化粧品本品購入なども多く、リピート率が高いことも特徴です」とファミリーマート商品本部CW・雑貨部CW・雑貨グループの芝恵莉子氏は説明する。

「間に合わせで買うだけではなく、『あそこのコンビニはどんな品ぞろえなんだろう』と考えてもらえている」(芝氏)というように、コンビニ大手の三者三様の売り場づくりは、生活者の購買行動を変え、化粧品の買い場としてコンビニが選択肢に入り始めている。だから、コンビニ大手3社は、化粧品を注力分野の一つに挙げており、3社ともに売り上げは昨対比で伸び続けている。ローソンの加藤チーフマーチャンダイザーは「化粧品カテゴリーをスイーツと同じくらい売り場に鮮度があり、誘引力のあるものに育成したい」と語る。コンビニコスメの役割は、明らかに変わり始めている。

月刊『国際商業』2024年08月号掲載