「ベストコスメの影響度が増している」。年末の化粧品売り場に対する、小売関係者の言葉だ。SNS上では、「美容垢」などインフルエンサーが個人的に使ってみて良かった化粧品をベストコスメとして投稿することも多いが、やはり市場への影響度が大きいのは名だたる媒体がそれぞれの方針で選定するランキングだろう。その多くは、6月頃に上期ランキングを、11月、12月にかけて年間ランキングを発表する。ここでは、年末商戦も左右したベストコスメの影響力をドラッグストアの売り上げシェア(「ウレコン」データ)を参考に診断した。

今回取り上げるのは、「アットコスメ」「LIPS」「美的」「VoCE」「LDK」の五つのベストコスメで上位に上がっていた、スキンケア(化粧水)とリップカテゴリーの二つだ。各年間ベストコスメからドラッグストアで取り扱いのない商品を省くと、化粧水では「キュレル ディープモイスチャースプレー」(アットコスメ、LIPS)、「PFJ アベンヌウオーター」(LIPS)、「ナチュリエ ハトムギ化粧水」(美的)、「ハダラボ 極潤薬用ハリ化粧水」(VoCE、LDK)が上位を占めている。まず、キュレルのディープモイスチャースプレー(150グラム)は、10月まで売上シェアは下降傾向だったが、11月、12月は前月にくらべ上昇に転じ、22年1月は横ばい。一方、大容量サイズの250グラムは12月に大きくシェアを伸ばし、2.04%(前月比0.58ポイント増)。1月には下降したため、大きく跳ねたことが分かる。しかしその他のランキング商品については、昨年比あるいは前月までの傾向とあまり大きな変化はない。スキンケア用品はメイクにくらべブランドスイッチが起きにくいこともあり、すぐにベストコスメの影響がシェアとして市場に現れる、というわけでもないようだ。

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