中野製薬の親会社であるNAKANOホールディングス(本社:京都市/代表取締役社長:中野耕太郎)は、滋賀県草津市に立地する既存の草津工場の隣接地に新たな頭髪化粧品および医薬部外品製造工場新工場を4月に竣工。その内覧会を5月13日に新工場で実施した。
ISO22716(化粧品GMP)に準拠した新工場は、新工場は「SMART・SUSTAINABLE・WELLNESS」をコンセプトに、①高効率・高品質な生産が実現する先進性②自然環境と共生するサステイナビリティ③従業員が誇りを感じられる人にやさしい環境の3点にこだわった。
①では、高効率で従業員負荷を低減する自動化設備を実現。調合・充填室はクリーンルームを導入し、生産工程に求められる、衛生レベルに応じたゾーニングを実現する。クリーン環境の調合工程によって製品の品質や安全性に関する高い基準を満たすことで、顧客の安心感を醸成し、高い信頼獲得を目指す。また、製造実行システム(MES)を導入し、多品種変量生産のノウハウをITシステムで管理。生産プロセスを最適化することで、製品品質の安定を目指す。
②では、サステイナブルな環境配慮型施設で、地域と共生し社会に貢献していく。それを実現するにあたり、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)において、環境効率指標BEE=1.5のAランク(大変良い)の取得を目指す。特に敷地内の室外環境や、資源・マテリアルの環境負荷低減に配慮することで、よりサステイナブルな生産プロセスを構築する。また、クリーンな生産を支えるサステイナブルな排水処理技術も確立。処理した水を脱水機の洗浄水に使用し、水の使用量を抑えるエコシステムを独自で設計。自在な生産(変種変量生産)を支える排水処理技術により、水質汚濁の防止、排水量の削減、処理に要するエネルギーの削減に取り組む。
地域共生への取り組みでは、エクステリアには、滋賀県の琵琶湖周辺で長く愛用されてきた天然素材の葦簀(よしず)をモチーフに、強い陽ざしを遮断しながら心地よく風を通す機能を持たせた「YOSHIZU SKIN」を採用している。新工場の顔となるエントランスでは「信楽焼タイル」張りのアクセントウォールが来訪者を迎え、地域と共生する企業姿勢を表現する。エントランス内の壁には、現工場の外壁に使用されているレンガを移植し、デザインの一部に組み込み、長きに渡り高品質・高い安全性を誠実に追求してきた志を継承する。これらのマテリアルによって、地域に親しまれ環境と呼応する新たなランドマークとして愛される新工場を目指していく。
③では、働きがいを感じることができる環境づくりを目指す。例えば、クリーンルームを含む衛生区分により管理された作業環境は、働きがいを感じられるワークプレイスを実現。食堂・事務所の南面は全面ガラスのため前庭を望むことができ、季節の変化を感じられる憩いの空間に仕上げている。美しく働く従業員のために更衣室やトイレなどの毎日使用するアメニティスペースも十分なスペースを確保し、すべての従業員が働きやすい環境づくりを目指す。
内覧会の冒頭、NAKANOホールディングスの中野耕太郎社長(中野製薬会長)は、「お客さまに喜んでいただける高品質な商品を安定的に生産、供給することが、メーカーの最大の使命であると認識しております。今回新設した工場をフル活用して、業界において、また広くは化粧品業界にお役に立てていけるようにしていきたい」と語った。
中野製薬の中野孝哉社長は、「新工場をフル活用し、プロフェッショナル事業をコア事業に、トレンドセッターである美容師の方々と様々な新しいトレンドを生みだす商品づくりとともに、そのノウハウを生かし、OEM/ODM事業、コンシューマー事業、グローバル事業、ペット事業の強化につなげ、中野製薬が掲げるパーパス『日々 美を ともに』に込めた想い体現できる社会づくりにもつなげていきたい」と期待を示した。
月刊『国際商業』2024年07月号掲載