花王の2024年12月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比5.2%増の3657億9700万円、営業利益は201.7%増の219億8400万円、税引前利益は193.4%増の247億6400万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は241.9%増の164億7000万円となり、増収増益となった。高付加価値化による価格改定を含む構造改革効果が大きく寄与し、大幅増益となった。

コンシューマープロダクツ事業の売上高は6.0%増の2812億円、営業利益は価格改定を含む構造改革効果が寄与し148億円(対前年同期114億円増)となった。そのうち地域別の売り上げは、日本は6.2%増の1731億円。アジアは2.8%減の541億円となった。米州は11.3%増の330億円、欧州は24.2%増の210億円となった。

ハイジーン&リビングケア事業の売上高は4.9%増の1194億円、営業利益は131億円(対前年同期105億円増)となった。

ファブリック&ホームケア製品の売上高は10.5%増の784億円、営業利益は126億円(対前年同期70億円増)。ファブリックケア製品では、日本の衣料用洗剤で高付加価値化による価格改定の効果が継続したこと等により、売り上げは市場伸長を上回りシェアも拡大。柔軟仕上げ剤は「ハミング消臭実感」の改良品が好調で、シェアも回復傾向にある。ホームケア製品の売り上げは、前年同期を上回った。日本では、食器用洗剤「キュキュット」が売り上げ、シェアを伸ばしたほか、バスクリーナーやトイレクリーナーの高付加価値製品が好調を維持している。

サニタリー製品の売上高は4.2%減の410億円、営業利益はベビー用紙おむつ事業の構造改革効果等により6億円(対前年同期35億円増)となった。生理用品「ロリエ」は、日本では共感型コミュニケーションによりブランドロイヤリティが向上したことで、売り上げは好調に推移した。中国ではALPS処理水の影響を受けた。ベビー用紙おむつ「メリーズ」の売り上げは、前年同期を下回った。

ヘルス&ビューティケア事業の売上高は9.1%増の948億円、営業利益は66億円(対前年同期8億円増)となった。スキンケア製品の売り上げは、前年同期を上回った。日本では高付加価値製品が貢献し、売り上げ、シェアともに伸長した。また、2023年11月に買収した「Bondi Sands」の売り上げも寄与している。ヘアケア製品の売り上げは前年同期を上回った。日本では厳しい競争環境の中、新ヘアケアブランド「melt」を発売し、新プレミアム戦略を本格的にスタートさせた。米州では、「JOHN FRIEDA」の新製品が好調に推移し、売り上げは前年同期を上回った。欧米のヘアサロン向け製品は、前年同期を下回った。パーソナルヘルス製品の売り上げは前年同期を下回った。「めぐりズム」は好調に推移したが、入浴剤が市場縮小の影響を受けた。

ライフケア事業の売上高は3.1%減の124億円、営業利益は3億円(対前年同期3億円増)の損失となった。業務用衛生製品の売り上げは、前年同期を下回った。日本では、外食産業や宿泊施設等で厨房用洗浄剤や客室消耗品の需要が引き続き高まったが、消毒剤は市場縮小の影響を受けた。米国の売り上げは、ほぼ横ばいだった。

化粧品事業の売上高は5.4%増の546億円、営業利益は47億円の損失と赤字幅は1億円拡大した。日本では市場が回復する中、「KANEBO」や「ALLIE」等のグローバル戦略ブランド「G11」が好調を維持し、売り上げは前年同期を上回った。中国ではALPS処理水等の影響により「キュレル」が苦戦し、売り上げは減少した。欧州では「SENSAI」の新製品が寄与しシェアが拡大。さらに、「MOLTON BROWN」が好調だった。

ケミカル事業の売上高は1.4%増の945億円、営業利益は油脂製品を中心とした利幅の改善に加え、需要回復を捉えて伸長した分野の貢献で81億円(対前年同期40億円増)となった。

24年12月期通期業績は、売上高3.1%増の1兆5800億円、営業利益は116.5%増の1300億円、税引前利益は105.2%増の1310億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は123.4%増の980億円と、前回予想を据え置いた。