花王の2024年12月期第3四半期業績は、売上高が前年同期比5.7%増の1兆1900億1100万円、営業利益99.3%増の1010億5500万円、税引前四半期利益90.6%増の1040億1600万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は118.3%増の710億2700万円の増収大幅増益となった。
事業別業績は、コンシューマープロダクツ事業が売上高4.3%増の9215億円、営業利益は775億円と増益、ケミカル事業は売上高9.7%増の3016億円、営業利益は251億円と増益となった。
コンシューマープロダクツ事業の内訳をみると、ハイジーン&リビングケア事業の売上高は3.7%増の3930億円、営業利益は542億円の増収増益となった。そのうちファブリック&ホームケア製品の売り上げは8.0%増の2684億円、営業利益は478億円の増益。ファブリックケア製品は、日本では猛暑による洗濯頻度の増加等で市場が伸長する中、高付加価値の新製品・改良品が好調に推移したこと等により前年同期を上回った。またシェア・数量はともに拡大した。ホームケア製品は、日本では、食器用洗剤「キュキュット」の改良品、「マジックリン」シリーズのバスクリーナーやトイレクリーナー等の高付加価値製品が好調を維持し、前年同期を上回った。シェア・数量も伸長した。サニタリー製品の売り上げは4.7%減の1246億円、営業利益は2023年に実施したベビー用紙おむつ事業の構造改革効果とペットケア事業譲渡益を計上したこと等により63億円と黒字化した。生理用品「ロリエ」は、日本では新製品が好調に推移したが、中国の売り上げが減少したことにより、売り上げはほぼ前年同期並みで推移。ベビー用紙おむつ「メリーズ」の売り上げは、日本では堅調に推移したが、中国では市場縮小や競争激化の影響を受け前年同期を下回った。
ヘルス&ビューティケア事業の売上高は9.1%増の3147億円、営業利益は、欧米子会社で構造改革費用を計上したこと等により256億円と減益。スキンケア製品の売り上げは、前年同期を上回った。日本では、UVケア製品やシート関連の新製品等が好調に推移した。「グローバル・シャープトップ戦略」のもと展開しているUVケア製品等の「スキンプロテクション」のビジネスは、計画通り進捗。2023年11月に買収した「Bondi Sands」の売り上げも寄与している。ヘアケア製品の売り上げは、前年同期を上回った。日本では、リブランディングした「エッセンシャル」、新ヘアケアブランド「melt」が好調に推移しており、着実に新プレミアム戦略の効果が出ている。欧米では、「JOHN FRIEDA」の新製品が好調で、売り上げは前年同期を上回った。欧米のヘアサロン向け製品では、「ORIBE」が好調を維持し、前年同期を上回った。パーソナルヘルス製品の売り上げは、前年同期を下回った。
ライフケア事業の売上高は0.4%減の406億円、営業利益は事業譲渡益の計上等により56億円と増益。業務用衛生製品の売り上げは、ほぼ前年同期並み。日本では、外食産業や宿泊施設等で利用客数の増加により厨房用洗浄剤や客室消耗品の需要が引き続き高まったが、消毒剤等は市場縮小の影響を受けた。米国の売り上げは、前年同期を上回った。なお、2024年8月1日にキリンビバレッジ株式会社への茶カテキン飲料「ヘルシア」に関する事業譲渡が完了している。
化粧品事業の売上高は1.1%減の1732億円、営業利益は79億円の欠損となった。日本では、市場が順調に推移する中、「KANEBO」、「ALLIE」、「ソフィーナiP」等が好調に推移し、前年同期を上回った。中国を除くアジアでは、売り上げは順調に推移した。中国では市場伸長鈍化、競争激化が続く中、流通在庫の適正化のため出荷抑制を実施し、前年同期を大幅に下回った。また、欧州では「SENSAI」の新製品が好調に推移し、売り上げは前年同期を上回った。
24年12月期通期業績は、売上高4.4%増の1兆6000億円、営業利益は133.2%増の1400億円、税引前四半期利益は130.3%増の1470億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は137.1%増の1040億円を見込む。