花王の2022年12月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比8.7%増の7339億100万円、営業利益が23.9%減の536億6100万円、税引前利益が18.4%減の604億7200万円、四半期利益は25.6%減の397億5900万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は26.0%減の388億8800万円と増収減益となった。トイレタリーにおける戦略的値上げ、コスト構造改革・TCRを積極的に実施する中、国内トイレタリーの攻勢などがプラス要因となったものの、想定の上限となる原材料価格高騰や中国での都市封鎖等が影響した。

事業別売上高は、コンシューマープロダクツ事業が2.3%増の5569億円。ケミカル事業は32.4%増の1991億円だった。

コンシューマープロダクツ事業の売上高の内訳をみると、化粧品事業が4.9%増の1160億円。国内は、市場の回復が想定を下回る中、「SUQQU」や「KATE」等のグローバル戦略ブランド「G11」の新製品が順調に推移。中国は都市封鎖の影響により物流が滞り大きな影響を受けたものの、欧州は、「SENSAI」や「モルトンブラウン」が市場を大きく上回って伸長した。

ハイジーン&リビングケア事業は、1.5%増の2383億円。ファブリックケア製品は、国内では原材料価格高騰の影響を最小化するため、衣料用洗剤の改良品の発売に合わせて戦略的な値上げを実施するとともに、マーケティング活動を強化したことで順調に推移。ホームケア製品は、国内では市場縮小の影響を受け、売り上げは前年同期をわずかに下回ったが、食器用洗剤「キュキュット」や浴室用洗剤「バスマジックリン」でシェアを大きく伸長させた。サニタリー製品は、生理用品「ロリエ」がインドネシアで好調に推移し、国内では前年同期を上回った。ベビー用紙おむつ「メリーズ」は、前年同期を下回った。中国での市場縮小や現地生産品の育成不足が響いた。一方、インドネシアでは、販売促進活動の強化により好調に推移。また、日本では、4月からの値上げを実施し計画通り進んでいる。

ヘルス&ビューティケア事業は、1.6%増の1768億円。スキンケア製品は、UVケア等のシーズン品の売り上げは伸長。一方、手指消毒液は、市場縮小が続き売り上げは減少したが、シェアは上がった。米国では物流の混乱は徐々に回復傾向にある。ヘアサロン向け製品は、欧米は好調を維持。米国は「Oribe(オリベ)」において、コアのサロンチャネルでの伸長に加えEコマースを中心に好調に推移。一方、国内のマス向け製品は厳しい競争環境が続いており、抜本的な事業変革を進めている。パーソナルヘルス製品は、「めぐりズム」が売り上げを伸ばしたが、入浴剤は前年同期を下回った。

ライフケア事業は、3.8%増の258億円。業務用衛生製品は、外食産業や宿泊施設等で厨房用洗浄剤や客室消耗品の需要が高まり、売り上げが伸長。米国では好調な経済に支えられ対象業界が伸長し、売り上げは前年同期を上回った。健康飲料は、特定保健用食品「ヘルシア」で、Eコマースのロイヤルユーザー拡大が進んだが、既存量販店での落ち込みをカバーするまでには至らず、売り上げは前年同期に比べて減少。

22年12月期通期業績は、原材料価格高騰の影響や物流費の上昇、インフレによる景気減速懸念等により、従来予想を修正。修正後予想では、売上高が800億円増の1兆5700億円(前期比10.7%増)、営業利益が150億円減の1450億円(同1.0%増)、税引前利益が40億円減の1560億円(同4.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益が60億円減の1110億円(同1.2%増)を見込む。