花王は5月7日、2021年12月期第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比5.1%減の3205億5800万円、営業利益は21.2%減の309億3700万円、税引前利益は9.1%減の339億100万円、四半期利益は3.4%減の262億2800万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は3.5%減の257億1900万円と減収減益。新型コロナウイルス感染症拡大による昨年の特需の反動や外出制限の影響で、前年同期を下回るも計画通りに推移した。
事業別売上高は、コンシューマープロダクツ事業が7.3%減の2556億円。ケミカル事業は4.7%増の731億円だった。
コンシューマープロダクツ事業の売上高の内訳をみると、化粧品事業が13.7%減の510億円。国内はインバウンド需要が消滅し、さらに緊急事態宣言の延長等で市場の回復が遅れ、大きく減少。海外は、欧州では、ロックダウンに伴う店舗閉鎖の影響を受けた。一方、中国は「フリープラス」や「キュレル」が引き続き好調に推移し、大きく伸長した。
ハイジーン&リビングケア事業は、6.1%減の1123億円。ファブリックケア製品は、国内では清潔意識の高まりの影響から、衣料用洗剤が堅調に推移したが、アジアでは前年を下回った。ホームケア製品は、国内では衛生関連製品で市場全体が縮小し、減少。アジアは引き続き好調に推移した。サニタリー製品は、生理用品「ロリエ」が中国で順調に推移したが、国内では前年同期に比べ市場が大幅に縮小し、大きく減少。ベビー用紙おむつ「メリーズ」は中国で前年同期を下回ったが、全体ではほぼ計画通り推移した。
ヘルス&ビューティケア事業は、6.0%減の815億円。スキンケア製品は、国内では前年同期に衛生関連製品の市場が大幅に拡大した反動で、減少したが、シェアは伸長。ヘアケア製品は、国内では市場の回復が遅れており、また欧米のヘアサロン向け製品は、欧州でロックダウンの影響を受けたが、米国の「Oribe(オリベ)」が、Eコマースを中心に好調に推移し、伸長した。パーソナルヘルス製品は、巣ごもり需要で入浴剤が好調に推移したが、インバウンド需要の減少により、前年同期を下回った。
ライフケア事業は、3.0%増の118億円。業務用衛生製品は、国内では感染症拡大が継続し、医療関連施設や飲食店等で、手指消毒液等の需要が高まり、伸長。米州では対象業界の回復もあり、前年同期を上回った。健康飲料は、特定保健用食品「ヘルシア」が、緊急事態宣言が延長したこと等で市場が伸び悩み、前年同期に比べて減少。
21年12月期通期業績予想は、売上高が3.5%増の1兆4300億円、営業利益が0.8%増の1770億円、税引前利益が1.7%増の1770億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が0.7%増の1270億円と、期初予想を据え置いた。
月刊『国際商業』2021年07月号掲載