化粧品日用品企業の2020年12月決算が出そろった。インバウンド需要を取り込んできた企業はコロナによる世界的な移動制限が直撃。それでも衛生品などコロナにかかわる製品群をそろえるライオン、ユニ・チャーム、アース製薬は国内が大きく伸長した。とはいえ、今後はコロナ以前の状態に戻ることは見込めない。各社ともアフターコロナに向けた転換点に立っていることは確かだ。
各社の決算を見ると、コロナ禍からいち早く回復した中国の売り上げが好調。資生堂の中国事業の売上高は9.0%増、花王も中国全体での開示はないものの、化粧品事業では20%以上増を達成。日用品メーカーでも開示しているユニ・チャームは10%増、アース製薬も12%増と軒並み2桁増。ライオンも、開示こそないものの、海外事業は中国がけん引役になっていることを明かしている。
一方では、ECへのシフトをはじめとしたデジタル戦略の加速が今後のカギとなってくる。これまでも各社がデジタルの重要性をあげていたが、コロナが無理やりその加速を促した。今後はデジタルを活用していかに顧客接点を創出するか。その中で化粧品メーカーはエンターテインメント性を持たせたライブコマースに着手。ブランド、チャネルとコンテンツの作り込み方に引き出しの多い資生堂が先陣を切り、国内、中国と矢継ぎ早に展開してノウハウを蓄積している。現状ではこれが正解というものはなく、まだまだ創意工夫の余地もあるが、新たな取り組みとして試行錯誤する価値はある。新しい生活様式が進む中で、生活者のライフスタイルにどう溶け込んでいくか。これまで以上に企業から生活者に歩み寄っていくことが求められるようになりそうだ。
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