花王は、2月3日、2020年12月期決算を発表した。
売上高は前年比8.0%減の1兆3819億9700万円、営業利益が17.1%減の1755億6300万円、税引前利益が17.4%減の1739億7100万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は14.9%減の1261億4200万円と減収減益。売上高、営業利益ともに公表していた通期見通しよりも下回った。
事業別売上高は、コンシューマープロダクツ事業は8.4%減の115億1300万円。ケミカル事業は5.8%減の26億9200万円だった。
コンシューマープロダクツ事業の内訳をみると、化粧品事業が22.4%減の23億4100万円。国内は、メイクアップ製品の売り上げ構成比が高いこともあり、コロナ禍による影響を市場よりも大きく受けたが、消費者のオンライン購買シフトに対応しEC強化を図ったことで、EC売り上げは拡大した。
海外は中国が好調。なかでも、フリープラス、キュレルを中心にプラットフォーマーとの取り組みを強化したこともあり、EC売上高は急拡大した。
一方で、中国以外のアジアはインバウンド縮小が直撃。欧米はロックダウンによる店舗閉鎖の影響があったものの、モルトンブラウンでいち早くECにシフトしたことがマイナス幅を抑える結果となった。
スキンケア・ヘアケア事業は、9.3%減の30億8900万円。スキンケアは、コロナ禍で国内の市場が大幅に拡大する中、ハンドソープ、手指消毒液の増産体制を整え、売り上げ・シェアともに大幅に伸長した。
一方で、ヘアケアは日本においては外出自粛により自宅でのヘアカラー利用が伸びたが、欧米ヘアサロン向け事業がロックダウンによる店舗閉鎖の影響を受けたことが響いた。
生理用品・紙おむつなどのヒューマンヘルスケア事業は、8.3%減の23億4000万円だった。生理用品「ロリエ」は、日本では特需や外出自粛による使用機会の減少で市場が変動する中、ほぼ横ばいに推移。アジアでは、中国でEコマースへの取り組みが順調に推移し、売り上げは大きく伸長した。
ベビー用紙おむつ「メリーズ」は、インドネシアでは順調に推移したものの、日本、中国それぞれの売り上げは前期に比べ減少した。
パーソナルヘルス製は前期を下回るけっかとなった。入浴剤は巣ごもり需要等によって順調に推移したものの、オーラルケア製品が厳しい競争により減収となった。
ファブリック&ホームケア事業は、主にホームケア用品の好調から4.1%増の37億4400万円。感染症拡大による需要増で、食器用洗剤、住居要洗剤等の衛生関連製品が日本、アジアともに好調だった。また、業務用製品も医療機関、介護施設など必要な現場に製品・サービスを供給することで好調だった。
来期について、コンシューマープロダクツ事業は新型コロナに関する先行きが不透明であるものの、現状のマスク着用常態化やテレワーク、インバウンド需要の消失、衛生意識の高まり、といったトレンドは継続するとみている。ケミカル市場は自動車関連分野等の対象産業の緩やかな回復、ならびに殺菌消毒関連用品の高い需要をプラス要因として見込む一方で、テレワークの定着により印刷関連製品の需要減などを想定。
これらのことから21年12月期通期業績は、売上高は3.5%増の1兆4300億円、営業利益は0.8%増の1770億円、税引前利益が1.7%増の1770億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は0.7%増の1270億円との予想だ。