花王の2020年第1四半期決算は、売上高が昨年同期比2.6%減の3377億6700万円、営業利益が同2.8%増の392億7900万円、税引前四半期利益が同3.4%減の372億7700万円、四半期利益が同0.6%増の271億5900万円となった。

市場全体を見ると、世界中で広がる新型コロナウイルス感染症の影響を受け、日本の化粧品市場が前年を大きく下回る一方、トイレタリー(化粧品を除くコンシューマープロダクツ)市場は衛生関連製品の需要拡大により伸長。トイレタリーの平均単価は、市場全体で前年同期比に対して2ポイント上昇している。

同社のセグメント別業績では、コンシューマープロダクツ事業全体では前年同期比2.3%減(実質1.3%増)の2769億円となった。

内訳を見ると、新型コロナウイルスによるインバウンド需要の減少や外出制限等により、大きく減少した化粧品事業は同12.1%減(実質11.4%減)の592億円で、営業利益は1億円、利益率は0.2%となった。特に日本国内における売り上げの減少率が特に高く同15.7%減。欧米では化粧品店舗閉鎖の影響も続いている。一方、アジアでは花王中国が3月に入り回復し始め、売り上げは伸長。これらの状況から、グローバル戦略ブランドG11の売り上げは同2%減、リージョナル戦略ブランドR8は同13%減となった。

衛生関連製品等の需要の高まりを受け、スキンケア・ヘアケア事業では「ビオレ」のハンドソープ、手指の消毒液等が売り上げを伸ばした。現在も供給を上回る需要増が続いており、大幅な増産を進めている。また、米州でも同様に新型コロナウイルス拡大による特需があった。しかし、外出制限やインバウンド需要減の影響はここでも出ており、日本・アジアでのUVケア製品等のシーズン品売り上げは減少している。

ヒューマンヘルスケア事業では、ベビー用紙おむつ「メリーズ」がインドネシアで好調。また、生理用品「ロリエ」の高付加価値品が日本国内で好調に推移、一部特需もあり、売り上げ、シェアともに大きく伸長した。これらのことから、売上高が同1.3%増(実質2.5%増)の619億円、営業利益は同22億円増の51億円となった。

ファブリック&ホームケア事業も好調で、売上高が同10.0%増(実質10.2%増)の818億円、営業利益が同42億円増の153億円となった。特に日本では、ファブリックケア製品で衣料用洗剤及び衣料用漂白剤が好調に推移。ホームケア製品も台所用漂白剤、キッチン回り洗浄剤、食器用洗剤が大きく売り上げを伸ばし、アジアでも同様に衛生関連製品の売り上げが大きく伸長した。

その他、ケミカル事業は同5.0%減(実質3.4%減)の698億円、営業利益は収益性の改善が寄与し同1億円増の78億円となった。