花王の2020年第3四半期決算は、売上高が前年同期比9.4%減の1兆52億6000万円、営業利益が同2.5%減の1200億6200万円、税引前四半期利益が同20.3%減の1191億4800万円、四半期利益が同16.9%減の873億5200万円となった。

花王グループの主要市場である日本の化粧品市場は、インバウンド需要の大幅な減少や外出自粛、さらに消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の影響を受け、前年を大きく下回った。一方で、トイレタリー(化粧品を除くコンシューマープロダクツ)市場は、駆け込み需要の影響があったものの、衛生関連製品の大幅な需要拡大により伸長。トイレタリー主要商品の購入単価は、前年同期比で4ポイント上昇した。

セグメント別業績では、コンシューマープロダクツ事業全体では前年同期比9.6%減の8384億円となった。

内訳を見ると、化粧品事業は同25.0%減の1606億円で、営業利益は同323億円減の72億円の損失となった。特に日本国内における売り上げの減少率が高く同31.1%減。一方、欧州では、店舗閉鎖の影響を受けたが、回復の兆しが出ている。アジアでは、花王中国がEコマースへの取り組み等を強化し、「フリープラス」「キュレル」の売り上げが順調に推移した。

スキンケア・ヘアケア事業の売上高は同9.6%減の2330億円、営業利益が同30億円増の412億円となった。スキンケア製品は、「ビオレu」のハンドソープ、手び油消毒液等の衛生関連製品が、日本で感染症拡大による需要増に対応した供給体制を整えたことで、売り上げを伸ばした。ヘアケア製品では、欧米のヘアサロン向け事業が取引先の店舗閉鎖等により、売り上げは前年同期を下回ったが、緩やかに回復に向かっている。

ヒューマンヘルスケア事業では、ベビー用紙おむつ「メリーズ」がインドネシアで順調に推移したが、日本、花王中国それぞれの売り上げが前年同期に比べ減少。また、パーソナルヘルス製品の売り上げは、競争環境が厳しく若干減少した。これらのことから、売上高が同8.9%減の1706億円、営業利益は同33億円減の87億円となった。

ファブリック&ホームケア事業は好調に推移しており、売上高が同2.4%増の2705億円、営業利益が同52億円増の566億円となった。日本では、ファブリックケア製品全般で駆け込み需要の影響を大きく受けたが、ホームケア製品を中心とした衛生関連製品の需要が拡大し、売り上げ伸長。また、アジアでも衛生関連製品の売り上げが伸びた。

その他、ケミカル事業は同8.0%減の1993億円、営業利益は同28億円減の207億円となった。

なお、通期業績予想は前期公表数値と変更なし。