花王は8月3日、2021年12月期第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比1.2%増の6751億7900万円、営業利益は5.3%減の705億5100万円、税引前利益は0.5%増の741億3300万円、四半期利益は3.7%増の534億5500万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は3.8%増の525億3800万円と増収減益。日本で緊急事態宣言や昨年の特需の反動等があり、アジアでは感染症の影響が続く厳しい状況の中、化粧品や欧米ヘアサロン向け製品が好転、ケミカル事業も上乗せし、ほぼ計画通りに推移した。

事業別売上高は、コンシューマープロダクツ事業が1.2%減の5442億円。ケミカル事業は11.1%増の1504億円だった。

コンシューマープロダクツ事業の売上高の内訳をみると、化粧品事業が0.9%増の1106億円。国内はインバウンド需要の消滅や緊急事態宣言継続等による市場回復の遅れにより、特にメイクブランドが苦戦したが、積極的なマーケティング施策により、前年同期を上回った。アジアは中国で「フリープラス」や「キュレル」がEコマースで引き続き好調に推移し、売り上げを大きく伸ばした。欧州は、ロックダウンの緩和による市場回復に加え、Eコマースの強化により、売り上げが伸長した。

ハイジーン&リビングケア事業は、3.0%減の2348億円。ファブリックケア製品は、国内では、清潔意識の高まりとともに、衣料用洗剤の改良品を発売し、売り上げおよびシェアを伸ばした。ホームケア製品は、国内では台所用漂白剤や住居用洗浄剤等の衛生関連製品が、昨年に比べ市場全体が縮小し、売り上げが減少する中、シェアが伸長。アジアは引き続き好調に推移した。サニタリー製品は、生理用品「ロリエ」が中国で好調に売り上げを伸ばしたが、国内は特需の反動の影響等を受け、売り上げが減少。ベビー用紙おむつ「メリーズ」は、インドネシアで順調に推移したが、中国では前年同期を下回った。

ヘルス&ビューティケア事業は、1.2%減の1740億円。スキンケア製品は、国内ではハンドソープや手指消毒液等の衛生関連製品の市場が大きく縮小し、売り上げは減少。米州は前年同期の高い需要の反動が続いた。ヘアケア製品は、マス向け製品が、国内でのヘアカラー等の市場回復が遅れており、売り上げが減少した。ヘアサロン向け製品は、欧州では前期にロックダウンの影響を受けたが、その後の市場の回復や米国の「Oribe(オリベ)」が、Eコマースを中心に好調に推移したこと等により、売り上げが伸長した。パーソナルヘルス製品の売り上げは、巣ごもり需要により入浴剤は好調に推移したが、インバウンド需要が減少した影響を受け、前年同期をわずかに下回った。

ライフケア事業は、6.6%増の249億円。業務用衛生製品は、国内では医療関連施設や飲食店等で、手指消毒液等の継続的な需要があり、売り上げが伸長。米州は顧客シェアの拡大や対象業界の景気回復によって、売り上げが前年同期を大きく上回りった。健康飲料は、特定保健用食品「ヘルシア」が、緊急事態宣言が継続していること等で市場が縮小し、売り上げは前年同期に比べて減少した。

21年12月期通期業績は、従来予想を据え置いた。売上高が3.5%増の1兆4300億円、営業利益が0.8%増の1770億円、税引前利益が1.7%増の1770億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が0.7%増の1270億円を見込む。