花王の2023年12月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比0.3%増の3477億9400万円、営業利益は68.3%減の72億8700万円、税引前利益は67.1%減の84億3900万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は73.6%減の48億1700万円となり、増収減益となった。トイレタリー(化粧品を除くコンシューマープロダクツ)事業では、原材料高騰の影響を戦略的値上げで約9割カバーしたものの、数量は課題カテゴリーの売上減と、昨年末からの家庭内在庫の影響もあり減少した。また、ケミカル事業では、想定を超える欧米市場の回復の遅れが大きく影響した。

コンシューマープロダクツ事業の売上高は前年同期比0.9%増の2653億円。戦略的値上げの実施、戦略ブランドへの集中投資を計画通り進め、その成果が出始めている。日本の売上高は1.9%減の1631億円、アジアの売上高は5.3%減の556億円、米州の売上高は28.3%増の296億円、欧州の売上高は13.4%増の169億円となった。営業利益は原材料価格上昇の影響等があり、前年同期比98億円減の34億円となった。

ハイジーン&リビングケア事業の売上高は0.2%減の1137億円。ファブリックケア製品の売り上げは前年同期に比べて減少した。衣料用洗剤で値上げの実施と改良品の発売が大きく貢献し、売り上げ、シェアともに大きく伸長したが、柔軟仕上げ剤は競合との激しい競争があり苦戦した。ホームケア製品は、日本では外出機会が増えたことで使用頻度が減り市場縮小の影響を受けたが、食器用洗剤「キュキュット」はシェアを伸ばした。

サニタリー製品は、前年同期を下回った。生理用品「ロリエ」が中国やインドネシアで好調に推移し、日本でも前年同期を上回った。ベビー用紙おむつ「メリーズ」は、インドネシアで配荷店の拡大やEコマースでの販売促進活動の強化により好調に推移したが、日本、中国で市場縮小等の影響を受け全体として売り上げは前年同期を下回った。営業利益は、原材料価格上昇が大きく影響し、前年同期比41億円減の27億円となった。

ヘルス&ビューティケア事業の売上高は8.0%増の869億円。スキンケア製品の売り上げは前年同期を上回った。日本では、UVケア製品等のシーズン品の売り上げは、市場伸長を上回るとともにシェアも上昇。米州では、前年同期に発生した物流の混乱が解消され、売り上げが伸長した。ヘアケア製品の売り上げは前年同期を上回ったが、日本では厳しい競争環境が続いている。

欧米のヘアサロン向け製品は、米国の「ORIBE(オリベ)」がEコマースを中心に好調に推移し、「ゴールドウェル」も売り上げは順調に推移。パーソナルヘルス製品は、外出機会が増えたことで前年同期に比べて市場が縮小し、売り上げは減少した。営業利益は前年同期比4億円減の58億円となった。

ライフケア事業の売上高は4.9%増の128億円。業務用衛生製品は、日本では市場が回復し、外食産業や宿泊施設に向けた製品の需要が高まり、売り上げは伸長した。米国では対象業界が伸長し、売り上げは前年同期を上回った。健康飲料は、特定保健用食品「ヘルシア」の売り上げが減少した。営業利益は6億円の欠損で赤字額が拡大した。

化粧品事業の売上高は8.0%減の518億円となった。日本では市場が回復してきた中、「KANEBO」や「KATE」等のグローバル戦略ブランド「G11」が好調に推移したが、構造改革等の影響で売り上げは前年同期を下回った。中国では、「フリープラス」の新製品発売前の出荷抑制等により売り上げは大きく減少。欧州では、インフレによる消費の冷え込み等により売り上げは前年同期を下回った。営業利益は45億円の欠損となった。

ケミカル事業の売上高は1.0%減の932億円。油脂製品では、天然油脂価格の下落に伴う販売価格改定と海外における顧客の在庫調整の継続が影響し、売り上げは減少。機能材料製品は、需要停滞の影響を受けた分野があったが、原材料価格上昇に伴う販売価格改定の寄与もあり、ほぼ前年並みの売り上げとなった。情報材料製品では、ハードディスクや半導体関連分野の需要の低迷により、売り上げは減少した。営業利益は、市場低迷による需要減少と市場価格の下落に伴う油脂製品の利幅の縮小が影響し、前年同期比58億円減の41億円となった。

23年12月期通期業績は、売上高1.9%増の1兆5800億円、営業利益は9.0%増の1200億円、税引前利益は4.4%増の1210億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は2.3%増の880億円と、前回予想を据え置いた。