花王は11月1日、2022年12月期第3四半期決算を発表した。売上高は前年同期比10.5%増の1兆1277億1000万円、営業利益は29.4%減の769億1700万円、税引前利益は25.0%減の850億9500万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は28.9%減の583億2000万円と増収減益。特に原料価格高騰の影響を大きく受けたこと、中国の減速、米国の低調などにより営業利益が同社の予想を大きく下回ったことは想定外だった。

事業別売上高は、コンシューマープロダクツ事業が4.2%増の8573億円。ケミカル事業は33.3%増の2280億円だった。

コンシューマープロダクツ事業の売上高の内訳をみると、化粧品事業が5.8%増の1755億円。うち国内は市場の回復が想定を下回る中、「KANEBO」や「KATE」等のグローバル戦略ブランド「G11」が順調に推移した。中国では上期は都市封鎖の影響を大きく受け市場全体が減速。欧州の売り上げは前年同期を上回った。

ハイジーン&リビングケア事業は、3.8%増の3707億円。ファブリックケア製品は、国内では、原材料価格高騰の影響を最小化するため、衣料用洗剤を中心に戦略的な値上げを実施するとともに、マーケティング活動を強化したことにより売り上げを伸ばした。ホームケア製品は、国内では市場縮小の影響を受け売り上げが減少するなか、食器用洗剤「キュキュット」や浴室用洗剤「バスマジックリン」のシェアが大きく伸長した。サニタリー製品は、売り上げは減少するも、生理用品「ロリエ」が国内とアジアで販売促進活動を強化したことにより好調に推移した。ベビー用紙おむつ「メリーズ」は、前年同期を下回った。インドネシアで順調に推移したが、国内や中国では市場縮小の影響等があり前年同期を下回った。

ヘルス&ビューティケア事業は、3.7%増の2708億円。スキンケア製品は、国内では猛暑の影響で、UVケア製品等のシーズン品の売り上げは好調に推移しシェアも大きく伸長した。ヘアケア製品は、国内のマス向け製品が厳しい競争環境にある中、抜本的な事業変革を進めているが、売り上げは前年同期を下回った。欧米のヘアサロン向け製品は、米国の「Oribe(オリベ)」が、コアのサロンチャネルに加え、Eコマースも大きく伸長し好調を維持した。パーソナルヘルス製品は前年同期を下回った。

ライフケア事業は、5.7%増の403億円。業務用衛生製品は、国内では市場が前年同期に比べて大きく回復している。特に外食産業や宿泊施設等で厨房用洗浄剤や客室消耗品の需要が高まり、売り上げは伸長した。米国では対象業界の活況により売り上げは拡大した。健康飲料は、特定保健用食品「ヘルシア」で、Eコマースでのロイヤルユーザー拡大が進んだが、既存量販店での落ち込みをカバーすることはできず、売り上げは減少した。

22年12月期通期業績は、売上高10.7%増の1兆5700億円、営業利益は1.0%増の1450億円、税引前利益は4.0%増の1560億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1.2%増の1110億円と、第2四半期に開示した予想を据え置いた。