一般社団法人日本パブリックアフェアーズ協会(代表理事:増田寛也)は、10月2日に「緊急提言! スイッチOTC推進フォーラム」のテーマでメディアフォーラムを開催し、政策提言書「偽造医薬品横行の個人輸入問題と、スイッチOTC医薬品推進のための5つの提言」を発表した。

フォーラムでは、基調講演①として、日本パブリックアフェアーズ協会アドバイザーであり、政策提言書の執筆監修者でもある日本医療伝道会衣笠病院グループの武藤正樹理事が「偽造医薬品横行の個人輸入問題と、スイッチOTC医薬品推進のための5つの提言」と題して政策提言書の発表趣旨や内容について、続けて基調講演②として、昭和薬科大学元学長で一般社団法人偽造医薬品等情報センター センター長の西島正弘氏が「個人輸入医薬品による健康被害等について」をテーマにそれぞれ講演した。

武藤理事は、「医師の働き方改革のことも考慮に入れると、医師と薬剤師が協働して患者の治療に携わる医療が広がる中で、OTCの価値を見出していくことが重要」との見解を示すとともに、「生活習慣病薬」「ED治療薬」「性感染症検査薬」がOTC化された場合のベネフィットについてもケーススタディとして言及。そのうえで、セルフメディケーション推進のためにスイッチOTC医薬品の普及拡大の必要性と必要な施策を提言した。

一方西島氏は、医薬品の個人輸入問題に触れ、「一般の個人でも医薬品の輸入が可能となっているのは、外国で受けた薬物治療を継続する必要がある場合や、海外からの旅行者が常備薬として携行する場合などへの配慮によるものである」と指摘し、偽造医薬品等情報センターで受けた消費者からの健康被害に関する相談内容を紹介した。

その後、日本OTC医薬品協会の磯部総一郎理事長、上田薬剤師会の飯島裕也常務理事、徳島大学大学院医歯薬学研究部循環器内科学分野教授であり、日本血管不全学会理事長の佐田政隆氏を交え、スイッチOTC化の課題と社会的なベネフィット、スイッチOTC推進がもたらす消費者へのベネフィット、スイッチOTC推進のために政府が取り組むべきことの三つのテーマでパネルディスカッションを実施。磯部理事長は、「品質が確保されたスイッチOTCという選択肢があるということが重要。偽造薬のリスクから守るという視点でも考えるべきだ」とスイッチOTC化の意義を強調。飯島常務理事は、「スイッチOTCが進めば、薬剤師の重要性が増して薬局が地域住民のファーストアクセスの場となり、医師の負担軽減や国民皆保険制度の持続性確保につながる」とコメントした。佐田氏は「薬剤師がOTCを活用して服薬指導をし、必要に応じて医師につなぐ医療の実現が重要だ」としてスイッチOTC医薬品の具体的な利活用拡大方法の一部を示した。

月刊『国際商業』2023年12月号掲載