本物の価値を提供する準備が整った

HONEYROA(ハニーロア)の成長戦略に磨きがかかった。これまでは有力な商業施設に直営店を設け、蜂蜜を軸にしたブランドの世界観を伝えることで新客および愛用者を育ててきた。当然、新型コロナの感染拡大はビジネスに逆風となり、厳しい業績を強いられている。とはいえ、外部環境の変化、一過性の業績に右往左往せず、ハローニアは、アフターコロナを見据え、OMO、商品、海外が三位一体となった新しい成長戦略を練り上げた。BCLカンパニーの住谷日出海カンパニーエグゼクティブは「コロナ禍によって、生活者の本物思考が強くなった。リアルとデジタルを組み合わせ、ハニーロアらしい付加価値を提案し、国内外にコアなファンを増やしていく。次の成長への準備は整った」と力強く語る。

住谷カンパニーエグゼクティブが生活者の変化に気がついたのは、東京と札幌の直営店を比較したときだという。例えば、都内の店舗ではリップケアの「ハニーラスター」が売れ筋商品で、新客、外国人客で賑わっていた。一方、札幌の店舗はスキンケアの愛用者を獲得していた。コロナ前は両方とも右肩上がりに成長していたが、コロナ禍の外出自粛、海外渡航の制限により、業績に明暗が生じた。東京は客数が大幅に減少したが、札幌は想定ほどの落ち込みではなかった。つまり、スキンケアを軸にビジネスの両輪である新客獲得と愛用者育成を進めることが、アフターコロナの鍵を握る。

2021年5月26日にオープンしたハニーロアの名古屋ゲートタワーモール店

2021年5月26日にオープンしたハニーロアの名古屋ゲートタワーモール店

ハニーロアの戦略の要は、これまでも、これからも、直営店であることに変わりはない。2021年5月26日にオープンした名古屋ゲートタワーモール店は、ブランドの今後を占う基幹店という位置付けだ。従来のポップな店舗デザインを刷新し、重厚感のある趣になっている。柱周りの「ハニカムフレーム」は蜜蜂の巣を想起させる装飾で、蜜蜂・蜂蜜がもたらす価値を出発点に生まれたブランドの世界観を余すことなく表現している。さらに白を基調とした店内は、ナチュラルな素材にこだわるブランドであることを伝えるのに一役買うだろう。内装の一部にリサイクル素材を作用したり、チャリティトートの売り上げの一部を森林保全団体「more trees」に寄付するなど、SDGs(持続可能な開発目標)への対応も強めている。住谷カンパニーエグゼクティブが説明する。

「コロナ禍のショッピング機会の減少は、生活者にネットだけで購買を判断することの利便性とストレスを同時に与えました。ハニーロアのECも急速に伸びているものの、それは一方で、リアルの付加価値づくりが問われることを示しています。今回の基幹店では、ブランドの世界観を伝えることに力を入れており、コアなファンを増やしていけると考えています」