サンスターは5月30日、「サンスターMouth & Body メディアセミナーVol.2 防災の専門家から学ぶ、最新のサステナブルな防災対策 誰にでも起こりうる在宅避難と災害時のオーラルケア」を開催。災害時におけるオーラルケアの重要性や、同社が取り組む「防災にオーラルケア」の啓発活動について説明した。
セミナーでは、危機管理教育研究所の国崎信江代表が講演。国崎代表は、さまざまな被災地をサポートし、避難所生活の苦労を目の当たりにした経験から、「災害時も自宅で継続して生活できるように備えることが、本来の防災です」と指摘。平常時も災害時も役立つように備える「フェーズフリー防災」の考え方や、あるとうれしいものを備蓄しておく「幸せ備蓄」の考え方を紹介した。さらに「断水時は衛生面がおろそかになるため、虫歯や誤嚥性肺炎に注意が必要。口腔ケアを忘れないことが大事です」と、災害時の口腔ケアの重要性を語った。
サンスターグループ広報部サステナビリティグループの草野彰吾グループ長は、同社の防災に関する取り組みを紹介。「災害時の避難生活では、口腔内の衛生状態が悪化しやすく、特に高齢者は誤嚥性肺炎を発症しやすい。そこで災害時の口腔ケアとして役立つのが、水がなくても歯を磨ける液体ハミガキです。災害時の水が少ない状況でも使うことができ、口腔環境を清潔に保つことができます」と説明した。
同社は東日本大震災以降、「防災にオーラルケア」と題して啓発活動を活発化させている。例えば、通常の液体ハミガキの使用期限は3年だが、防災関係者との対話から、防災備蓄品に必要な保存期間5年を達成した「長期保存ガム・デンタルリンス」を2018年8月に製品化。20年8月には、より利便性の高い使い切りのスティックタイプを製品化した。液体ハミガキは、国土交通省が通達した、避難所に優先的に供給すべき品目にも挙げられている。22年11月現在、全国20都府県、49市区町村で「長期保存ガム・デンタルリンス」が備蓄されている。
サンスターが実施した調査によると、家庭での防災備蓄の実施率は、21年の29.2%から23年に38.8%に向上した。一方、オーラルケア製品の備蓄率は、21年の11.0%から23年は15.4%に留まった。一方では、災害時の口腔内の健康維持が全身の健康維持に重要であることを認識している人の割合は、災害で避難を経験している人で74%にのぼった。「避難の経験がない人、オーラルケア製品の備えがない人に、災害時のお口の健康維持の重要性を伝えていく必要性があります」(草野グループ長)。
また、サンスターの健康食品ブランド「健康道場」6品が、災害時に有効な栄養摂取ができる製品として、一般社団法人日本災害食学会の「日本災害食」認証を取得。さらに6月2~4日まで「道の駅猪苗代」で行われる防災イベントにも参加するなど、同社は今後も「防災にオーラルケア」の啓発活動を推進していく。
月刊『国際商業』2023年08月号掲載