エステーは4月3日、新入社員の入社式を実施した。新入社員は計20人。入社式において、鈴木貴子社長は新入社員に向けてメッセージを発信した。以下はその要旨である。
〈入社式訓示(要旨)〉
入社おめでとうございます。社員一同、心より歓迎いたします。コロナ禍での就職活動を経て入社された皆さんは、会社の雰囲気を肌で感じる機会も少なく、今日の入社式を不安と期待の入り混じる気持ちで迎えられたことでしょう。
先行き不透明な「VUCA」の時代にコロナが到来して混迷を極め、ここ何年も不安定な消費環境が続いています。ロシアがウクライナに侵攻して早一年が過ぎました。この戦争が私たちの消費マインドに与えた影響を考えると、家族や友人、ペットと平穏に暮らす日常や、自然とのふれあい、心身ともに健やかであることの幸せが改めて実感されたのではないでしょうか。
そのような消費者心理もあり、ペットケアやアウトドア市場が伸長し、良質な睡眠やストレス軽減を求めて機能性食品が大ヒットするなど、日々の暮らしの中で小さな“ウェルビーイング”を叶える商品やサービスに対しては、生活者は喜んで対価を払うのです。
エネルギー・原材料価格高騰による相次ぐ商品値上げで選別購買が進み、消費はさらに二極化すると予測されます。安いほど良いというお客様がいらっしゃる一方で、多少高くても他にない価値を求めるお客様はむしろ増えるでしょう。私の持論ですが、「デフレの元凶はイノベーションの枯渇」。私たちメーカーは今の時代に求められる新しい価値を創造しなければなりません。
この激動期は、まさに脱皮のチャンスと私は考えます。現状維持では生き残れません。既存領域は、市場のポテンシャルと将来の成長、高収益が見込める事業に集中してリソースを配分します。一方で当社の常識や既存の枠組みを打ち破る新規事業を着々と立ち上げていく予定です。
中心に据える軸は「空気」です。空気は一般のご家庭だけでなく、オフィスや駅、空港、ホテル、病院、介護施設など公共の場、そして世界中に存在します。当社は日用品の枠組みを超えてB2B市場や海外へ事業領域を拡大し、「トータル エアビズ 企業グループ」を目指して、事業ポートフォリオを組み替えていきます。
重要なのはスピードを持って時代の変化を先取りすることです。その鍵は、ラグビー型の部署連携です。リレー型でバトンを待つのではなく、みんなでボールを奪い合い、取りに行く。ボールを手にしたらすぐに動けるよう、常に戦況に目を配り把握しておくことが必要です。
皆さんも先輩社員に臆することなく、フレッシュな消費者視点を活かして積極的に提案し、自ら行動してください。企業スローガンである「空気をかえよう」のもと、ぜひ一緒に会社の空気をかえ、そして日本の社会の空気までもかえていきましょう。
最後に、当社の社是は『誠実』です。人として誠実であることはもちろん、この言葉には「言った事を成し、夢を実現する」という思いが込められています。この社是の通り、新入社員の皆さんも大きな夢を掲げ、その実現に向けて邁進してください。