エステーが2021年3月期決算は、売上高が前年比4.5%増の496億7300万円、営業利益が同16.9%増の39億4500万円、経常利益が同11.7%増の37億3700万円、親会社株主に帰属する純利益が同11.7%増の25億2500万円となり、増収増益となった。

カテゴリー別にみると、売り上げ構成比43.0%を占めるエアケア(消臭芳香剤)が前年比1.3%増の213億5400万円。在宅勤務や外出の自粛要請などの影響による業務用や車用消臭芳香剤の落ち込みや、海外子会社の売り上げが低迷したものの、「玄関・リビング用 消臭力 Premium Aroma」等の高単価・高付加価値品が堅調だった他、悪臭成分を感じにくくする新技術を用いた新製品「消臭力 DEOX」が貢献。また、内食需要の高まりから「脱臭炭 冷蔵庫用」が大きく伸長した。

また、衣類ケア(防虫剤)は同1.7%増の94億2300万円。主力ブランド「ムシューダ」シリーズにおいて機能性向上やデザイン性を重視したラインアップ充実に注力。前期の消費税増税の影響が限定的であったことや、外出自粛中の巣ごもりで衣替えへの需要が拡大したことにより、「ムシューダ カバー」等が伸長した他、新製品の「ムシューダ ダニよけ」も貢献した。

成長事業の柱となるサーモケア(カイロ)は同3.8%増の44億8900万円。外出機会が減るなか、「くつ下用」のカイロ、海外輸出が貢献した。

また、一番の伸長率となったハンドケア(手袋)は、同20.2%増で69億2300万円。除菌衛生意識の高まり、内職需要の高まりから極薄手タイプが大きく伸長、また海外での家庭用手袋も伸長した。

湿気ケア(除湿剤)は同2.0%増の33億8500万円。高価格シフトが成功し、シートタイプが好調に推移した。

ホームケア(その他)は、同7.9%増の40億9700万円。「洗浄力」ブランドの浸透と国内の新分野へのチャレンジとして商品拡充に向けた取り組みを推進し、「米唐番」や「洗浄力 洗たく槽クリーナー」などが好調に推移。また、業務用の持続性除菌コート剤の新製品「Dr.CLEAN+(ドクタークリーン)除菌・ウイルス除去スプレー」も大きく貢献した。

今後はブランド価値経営の下、持続的成長を可能にするために、「既存事業収益構造の盤石化」「成長エンジンへのリソース強化」「新分野・新市場への参入・育成」「DXとESG経営で経営基盤の強化」「組織能力の向上」に注力。

エアケアと衣類ケアは高機能高価格な商品へのシフトを推進。サーモケアについては、オンパックスブランド強化とともに年間商材の「OnStyle」シリーズのラインアップ強化を行っていく。ハンドケアは安定供給に努めるほか、手肌保護の機能性に優れた家庭用手袋の拡販をするものの、売上高は減少する見込み。湿気ケアはタンクタイプの一部製品をリニューアルし、環境対応市場に向けて訴求する。新分野・新市場への取り組みでは、21年3月期に好調だった洗浄力ブランド、米唐番、ドクタークリーンの拡売を図り、売り上げの伸長を見込む。

22年の計画は、売上高475億円、営業利益38億円、経常利益39億円、親会社株主に帰属する純利益27億円を予想。22年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、対前年比増減率は記載していないが、21年3月期に当該会計基準等を適用したと仮定して算定した増減率としては売上高が前年比3.2%増、営業利益6.3%増、経常利益4.6%増、親会社株主に帰属する当期純利益7.3%増となり、増収増益を見込む。