エステーの2023年3月期第3四半期決算は、売上高が前年比1.1%増の356億6400万円、営業利益が25.8%減の22億6300万円、経常利益が20.7%減の25億5600万円、純利益が24.1%減の16億6600万円と増収減益だった。売上高は衣類ケアが減少したものの、サーモケアが伸長。利益面では、円安による仕入コストの上昇に加え、成長に向けてマーケティング費用を戦略的に投下したことで、販管費が増加した。

売上高をカテゴリー別に見ると、主力のエアケア(消臭芳香剤)は、本格ボタニカルアロマ処方を採用してペーパースティック使用など環境にも配慮した新製品「消臭力 Natulief 玄関・リビング用 リードディフューザー」がデジタル販促により売上に貢献し、「消臭力 Premium Aromaシリーズ」の「玄関・リビング用」などの高単価・高付加価値品が堅調に推移した。一方、既存の主力品である「玄関・リビング用 消臭力」の伸び悩みや、「消臭力 DEOX トイレ用」の落ち込みにより、売上高は0.8%減の156億6700万円となった。

衣類ケア(防虫剤)は、昨春の衣替えシーズンの展開を前倒ししたことや、「ムシューダ 引き出し・衣装ケース用」や「ムシューダ クローゼット用」といった既存の主力品が落ち込み、売上高は3.7%減の56億4900万円となった。

サーモケア(カイロ)は、今秋にこれまでにない“軽さ”と“薄さ”を実現した付加価値ライン「はるオンパックス Airy(エアリー)」を発売。主に貼るタイプの使い捨てカイロが増加した他、海外への輸出が増加し、売上高は14.2%増の41億7500万円となった。

ハンドケア(手袋)は、家庭用手袋「ファミリー」の拡売に取り組んでおり、値下げによる販売価格の改定を実施。加えて、業務用手袋等が伸長したほか、海外子会社での販売が好調に推移し、売上高は2.0%増の43億7300万円となった。

湿気ケア(除湿剤)は、脱コモディティ化に向けて「備長炭」シリーズや「ドライペットクリア」を強化し、高付加価値品へシフトする取り組みを推進。主にタンクタイプの除湿剤が伸長し、売上高は2.1%増の24億6400万円となった。

ホームケア(その他)は、お米の虫よけ「米唐番」がテレビCMとSNSの統合展開により堅調に推移。成長するペットケア市場におけるニオイ課題を解決する猫用システムトイレシリーズの発売や、昨春発売した新製品の野菜の鮮度を守る「新鮮番」が貢献し、売上高は2.3%増の33億3200万円となった。

23年3月期の見通しは、売上高4.5%増の475億円、営業利益21.6%減の25億5000万円、経常利益18.1%減の28億5000万円、親会社株主に帰属する当期純利益71.3%増の19億円と従来予想を据え置いた。